結局、そのシャビが思い描いていた通りに事態が進展したのは周知の通り。クーマンは解任され、ラポルタはシャビの招聘にゴーサインを出した。もっとも肝心のアル・サッドとの交渉は、フットボールディレクターのマテウ・アレマニーとスポーツ部門副会長のラファエル・ジュステに一任し、本人はバルセロナにとどまった。
しかし、このバルサの対応がアル・サッドの首長の怒りを買い、冒頭で述べたようにシャビが双方の仲介役を担わなければならなかったわけだ。その結果、フリーでの契約解除条項という当初シャビサイドが存在を主張していた案が却下され、アル・サッドは解除金の支払いを要求。シャビがその半額を肩代わりしたとされる。
アル・サッド側の怒りを買ったバルサの対応
就任記者会見でシャビとラポルタは、円満な関係を強調した。しかしこのタイミングでの就任を切望していたシャビと、その手腕を疑問視していても、自らに批判の矛先が向かわなようにするためにもバルセロニスモの切り札を登板せざるを得なかったラポルタの間に温度差があるのは明らかだ。今後このわだかまりが消えるかあるいは亀裂が広がるかは、すべてチームの成績次第だ。
かくして監督と会長が一枚岩のタンデムへと昇華しないまま、バルサが新たな第一歩を踏み出した。
文●ファン・ヒメネス(アス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸