【女子W杯】飛躍する「黒子レフティ」、宇津木の輝き

カテゴリ:日本代表

栗原正夫

2015年06月29日

宮間、鮫島の能力を活かす「左のトライアングル」

レフティならではの攻撃センスも魅力のひとつ。宮間、鮫島との柔軟なポジションチェンジも可能で、献身的なプレーで「左のトライアングル」を機能させる。 (C)Getty Images

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 それにしても、今大会の宇津木の充実ぶりは光る。

 前回優勝した2011年ドイツ大会でもメンバー入りはしたものの澤穂希と阪口夢穂の影に隠れ、出場時間はごくわずかに終わり、続く銀メダルを手にした2012年のロンドン五輪では、直前のテストマッチで右ひざの靭帯を痛めて、出場すら叶わなかった。
 
 打って変わって今回のカナダ大会では、初戦のスイス戦と第2戦のカメルーン戦に左SBで先発すると、エクアドル戦こそターンオーバーで出場機会はなかったものの、続くオランダ戦とオーストラリア戦にはボランチでフル出場と、欠かせない戦力となっている。
 
 ワールドカップ開幕前には、澤の復帰や左MF宮間あやのボランチ起用、左SB鮫島彩の左MF起用というプランも出て、宇津木は左SBに固定されるとの見方もあったが、ここへ来て本来のボランチでのプレーがチームにハマりつつある。
 
 第2戦のカメルーン戦では、ハーフタイムを挟み、宇津木(左SB→ボランチ)、宮間(ボランチ→左MF)、鮫島(左MF→左DF)の配置が変わったりもしたが、宇津木自身は3人の並びについて「宮間にしても、鮫島にしても、それぞれの特徴があるだけに、そこは対戦相手などを見ての監督の判断だと思う。自分としてはどこで出ても、宮間の攻撃のアイデア、鮫島のスピードを活かせるようなプレーを心掛けていますし、一番は相手の脅威になることですから」と、与えられたポジションで全力を尽くすだけと話す。
 
 とはいえ、「悔いを残すようなプレーだけはしたくない」と、常に100パーセントの力を出し尽くす思いきりの良い宇津木のスタイルは、縦横無尽に走り回れるボランチでこそ活き、冷静な阪口との好対照なコンビが、それぞれの持ち味を活かし合ってなでしこジャパンの中盤を支えている。
 
 準決勝の相手は、地元カナダを下し、勢いに乗るイングランドに決まった。
 
「中3日しかないですけど、まずは疲労を取り、心をリフレッシュすることに集中したい。(優勝まで)あとふたつというより、まずはひとつ。ここまで来たチームは、どこも優勝する可能性を持っていると思うので、リスペクトしながら戦いたい」(宇津木)
 
 強豪国との対戦となる残り2試合。フランスのモンペリエで5年間プレーし、確かな自信を手に入れたレフティが、なでしこジャパンを連覇へ導く原動力となるはずだ。
 
取材・文:栗原正夫
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