2005年3月のイラン戦。2日前の紅白戦で意見が衝突
バックパスが多くなっているのは、相手が激しくプレスをかけてきた際、選手個々がいい位置にいなかったり、距離感が遠かったりしている場面が多いため。その結果。出しどころがなくなり、後ろに下げるしかない状態に陥る。その悪循環から抜け出さない限り、森保一監督が目指してきた高度な連係・連動のあるサッカーはできず、勝利という結果も手にできないということになってしまう。
だからこそ、冨安が言うように全員がボールの動かし方を改めて共有すべきだ。が、それをピッチ上の選手たちに委ねていて本当に大丈夫なのか……。森保一監督は選手の自主性や判断力を重んじる「選手ファースト」の監督だが、チームがうまくいっている時はOKでも、危機的状況にある今は違う。重要な意思統一を彼らに任せすぎるのは、どうしてもリスクが高いように映るのだ。
こうしたアプローチの失敗例として想起されるのが、2005年3月の2006年ドイツW杯最終予選・イラン戦(テヘラン)だ。2日前の紅白戦で中田英寿と福西崇史の両ボランチがポジショニングを巡って意見が分かれ、喧々諤々になったことがあった。そこに宮本恒靖や加地亮らも加わり、なかなか結論が出なかった。指揮を執るジーコは最初だけ話を聞いていたが、「あとはキミたちで決めてくれ」と言わんばかりに場を離れてしまったのだ。
結局、試合は1-2の敗戦。直後にキャプテンの宮本主導で3バックへの変更が行なわれ、続くバーレーンに勝って窮地を脱したが、16年前の二の舞にならないか不安を覚えて仕方ない。
当時のジーコのように、森保監督は主力6人が話し合いをする間、遠くからサブ組の練習を見つつ、様子を窺っていた。これは普段通りのスタイルであり、何ら変わることはなかった。ただ、少なくとも練習後には吉田や長友らが考える問題点をしっかりと共有し、解決策を提示するべきだ。そのうえで、ボールの動かし方やロストしないサポートの位置や距離感など細かい部分を再徹底する必要があるのではないか。練習場以外のチームの動きは我々外部には分からないし、もちろんそれをやっているのかもしれないが、コミュニケーションに落とし穴があってはいけない。そこは今一度、再検証してほしい。
こうしたアプローチの失敗例として想起されるのが、2005年3月の2006年ドイツW杯最終予選・イラン戦(テヘラン)だ。2日前の紅白戦で中田英寿と福西崇史の両ボランチがポジショニングを巡って意見が分かれ、喧々諤々になったことがあった。そこに宮本恒靖や加地亮らも加わり、なかなか結論が出なかった。指揮を執るジーコは最初だけ話を聞いていたが、「あとはキミたちで決めてくれ」と言わんばかりに場を離れてしまったのだ。
結局、試合は1-2の敗戦。直後にキャプテンの宮本主導で3バックへの変更が行なわれ、続くバーレーンに勝って窮地を脱したが、16年前の二の舞にならないか不安を覚えて仕方ない。
当時のジーコのように、森保監督は主力6人が話し合いをする間、遠くからサブ組の練習を見つつ、様子を窺っていた。これは普段通りのスタイルであり、何ら変わることはなかった。ただ、少なくとも練習後には吉田や長友らが考える問題点をしっかりと共有し、解決策を提示するべきだ。そのうえで、ボールの動かし方やロストしないサポートの位置や距離感など細かい部分を再徹底する必要があるのではないか。練習場以外のチームの動きは我々外部には分からないし、もちろんそれをやっているのかもしれないが、コミュニケーションに落とし穴があってはいけない。そこは今一度、再検証してほしい。