大味な試合が増えるのではないかという心配も杞憂に…
筆者個人としては「競技性が担保されるかどうか」を心配していた。参入の基準として、競技場などハードの部分や経営面を重視した結果、オリジナル11となったチームのうち、前年度になでしこリーグ1部で戦っていたのは7チームだけ。2部から2チーム、全くの新規立ち上げが2チーム。僅差の試合が増えてきたところから、大差の試合が多かった時代に戻るのではないかという懸念が、どうしても拭えなかった。
それが、蓋を開けてみれば、2節を終えた時点で11クラブ全てが、早々と勝ち点を獲得。ここまで3節を終えて、3点以上の差がついた試合も、第1節の2試合だけである。昨季、なでしこ2部で5位と既存チームの中では最も成績下位から参戦したのが、AC長野パルセイロ・レディース。WEリーグ開幕後、昨季なでしこ1部の3チームと対戦して、1勝2分け。堂々と渡り合っている。
「自分たちよりもレベルが高いチームが多いので、失うものはないと思います。攻撃は出せる部分を残さず出し切ってチャレンジしていく。守備の部分でも受け身になるのではなく、自分たちからボールを奪いにいく。練習からそうやって1試合目、2試合目と戦えたので、これからも継続してやり続けたいと思います」(瀧澤千聖・AC長野パルセイロ・レディース)
秋春制への移行で生じた通常よりも長い準備期間を使って、しっかりとチームを作ることができたというのはあるだろう。また、昼間の練習がベースになり、自分の身体をメンテナンスする時間が生まれるなど、身体作りでもプラス効果があるのではないだろうか。これまでは、フィジカル面の差が埋まらず、劣勢に立たされる傾向にあった高卒ルーキーが、躍動する姿も目に入ってくる。