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帰化選手に頼らず「専守防衛」を徹底した中国指揮官の思惑とは? 日本は最終予選初白星も大迫を軸とする現体制では…

カテゴリ:日本代表

加部 究

2021年09月08日

「大迫を軸として考えた時に良い連携が出来る」(森保監督)

森保監督は、決勝ゴールをマークした大迫を軸としていく考えを持っているようだ。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 フタを開けてみれば李鉄監督が選択したのは、5-3-2で自陣にこもり、積極的なボール奪取も控える超守備志向の戦術だった。その先に未来があるとも思えないが、なんとか結果を手にするためには最適だと判断したのだろう。

 皮肉にもそれは34年前に行なわれた日中戦の逆転現象とも言えた。開催国が不在のソウル五輪予選は、日本にとって千載一遇のチャンスだった。だが、直前のアジア大会で中東勢との力の差を痛感した当時の石井義信監督は、所属していたフジタ工業サッカー部で実践した攻撃的スタイルとは真逆の「専守防衛」を宣言。最終戦で中国に逆転を許して五輪出場の切符を逃した。

 34年間の日中間の相違がどこにあるのか、その距離も含めて最も良くわかっていたのが、実は李鉄監督だったのかもしれない。同監督は日本に最大限の畏怖の念を抱き、60分間を石井監督以上の「専守防衛」で過ごし、残り30分間でギャンブルに出る策に出た。

 所属クラブではほとんど守備に汗を流す姿を見かけなかったエウケソンが、必死に戻って室屋成や遠藤航に対峙する。初戦でオーストラリアに完敗し、猛烈な批判にさらされた指揮官は、それでも60分間はひたすら守り抜くことを徹底させた。
 
 逆に日本にとってキックオフからの60分間は、2次予選のおさらいだった。この間に最大の決定機を外したのが大迫勇也なら、次の機会に唯一のゴールを決めたのも大迫だった。

 試合後の森保一監督は、久保建英と古橋亨梧のスタメン起用について、「大迫を軸として考えた時に良い連携が出来る」と答えている。つまり森保体制が続く限り、大迫のコンディションが浮沈のカギを握り続け、同じ構図は他のいくつかのポジションにも該当する。そう考えれば残念ながらすでに現体制での日本代表は、伸びしろと戦い方の幅を限定されているのかもしれない。

 中国の帰化選手が脅威を与えたのは、交代出場したばかりのアロイージオがボックス左から侵入してきたシーンだけだった。確かに日本代表も帰化選手に支えられてきた時期があった。だが、この間に自国で生まれ育ってきた選手たちが、中国の帰化選手たちを凌駕する経験値を積んでいる。

 ただし、もともとグループBは「3強3弱」の構図が予想されていた。この1勝は言わばアウトサイダーから挙げたもので、「1-0」の結果も含めて「最低限」という選手たちの認識にそごはない。

取材・文●加部 究(スポーツライター)

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