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「夏に勝てないと言われていて悔しかった」青森山田がついに手にした夏の栄冠! 次なる目標は歴代2校目の三冠達成だ!【総体】

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2021年08月23日

「昔からギリギリの時間にやられて終わることが多かったチームだけど…」

延長後半終了間際の劇的な決勝ゴール。青森山田の選手たちは歓喜の雄叫びを上げた。写真:田中研治

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 改めて、今大会の青森山田を振り返ると、どんな相手に対しても動じずに戦った。「攻撃から守備、守備から攻撃のトランジションを含めて、なんでもできるサッカーが青森山田のスタイル」。黒田監督が日頃からそう口にするように、相手のスタイルを踏まえたうえで、自分たちの強みを発揮して勝利を重ねた。

 初戦の長崎総科大附戦は、徹底的に自分たちのストロングポイントを潰す策を講じられたが、相手の状況を見たうえで冷静にボールを動かしてゴールを奪う。守ってもスピードに長ける両サイドのアタッカーを封じ、ゴールエリアに入れさせなかった。

 準々決勝の東山戦は相手のメンバーに下級生が多いため、メンタル面で相手に揺さぶりを掛けられると判断した。

「テクニカルなところで差がなくても、迫力、フィジカル、走力で圧倒すれば、2年生なので怯んだり、イージーなミスが出てくる。メンタル面で勝負し、相手のパワーを削ぎ落とすことをやった結果として前半のうちに3点が奪えた」(黒田監督)。

 準決勝の静岡学園は、今大会で対戦してきたチームとまるで色が異なった。最終ラインからボールを繋ぎ、アタッキングサードでは個人技で勝負をするスタイルが身上。そうした相手に対し、前線からハイプレスをかけ、中盤の底でボールを回収した松木と宇野禅斗(3年)を起点とするショートカウンターからゴールを重ねた。
 
 そして決勝は、堅守速攻を武器とする米子北の術中にハマり、ボールを保持するなかで攻めあぐねる時間が続いた。それでも徐々に修正し、自分たちのペースに引き込めるのは王者が成せる技。最後は得意とするセットプレーから2得点を挙げ、勝利を引き寄せた。

 前回の優勝時は、準決勝までの全試合が1点差かPK戦での勝利。決勝は4-1で那覇西に勝利したものの、紙一重の勝負で掴んだタイトルだった。

 あれから16年、ほとんどのライバル校が“打倒・青森山田”を掲げて挑むなかで掴んだ夏の日本一。

「最後まで諦めず、『何がなんでもPKには持ち込まれないぞ』という彼らの気迫が、最後の最後で勝ったのかなと思います。昔からギリギリの時間にやられて終わることが多かったチームだけど、最後に取り切って勝てるようになったのでたくましくなりましたね」

 辛口で知られる黒田監督は選手たちを労い、成長ぶりに目を細めた。しかし、目標はインターハイ、プレミアリーグ、高校サッカー選手権を制しての三冠達成だ。1998年に東福岡が成し遂げて以来、2校目となる偉業を目指す高校サッカー界の“ラスボス”は、現状に甘んじることなく、さらなる成長のために歩みを止めない。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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