強調するコーチングスタッフの存在
ただし、当たり前であるが、川崎としてはふたりが抜けても戦いは続いていく。Jリーグ全体のテーマでもあるが、若手の活躍は喜ばしいことであるものの、そうすれば、さらなる成長へ新たな環境を選ぶのは必然の流れでもある。こうしたジレンマを各クラブの監督は抱えているはずだが、鬼木監督に訊くと、常に心がけていることがあると話してくれた。
「自分たちはJリーグの魅力を伝え続けないといけないと思います。当然、海外へ挑戦したいという選手は多いですし、これからもっと増えてくるはずです。そういうなかで、自分たちが今、Jリーグでやっていることは、決してレベルが低いとは思わないです。だからこそもっともっとJりーグの価値を上げていく、それを常々自分は意識していますし、選手にも意識してもらっています。
だからこそ選手には『自分たちでJリーグを引っ張っていこう』という話をしています。(若手の移籍は)多くのクラブで起きていることですよね。ただ、そうなっても自分たちは質を落とさずに、次から次へと選手が出てきて、面白いなと思ってもらえるようなサッカーをしたい。
あとは以前に神戸のフェルマーレン選手が“Jリーグの価値”に関して話してくれたことがありましたよね。そういう意味で言うと、海外から来た選手がJリーグの良さを発信してくれるのはありがたく、そういう言葉を発してもらえるような、質を自分たちがやり続けなくてはいけないと思います。選手が最終的にJリーグでやりたいと思ってもらえるような環境にしていくこと、Jリーグで成長できるんだという環境を、もっと作りあげていければなと。毎日、そう思いながらやっているところはあります。ただこれは、各クラブの悩みであり、テーマであり、大きいですよね。答えになっているか分からないのですが、自分はそういう想いでやっています」
「自分たちはJリーグの魅力を伝え続けないといけないと思います。当然、海外へ挑戦したいという選手は多いですし、これからもっと増えてくるはずです。そういうなかで、自分たちが今、Jリーグでやっていることは、決してレベルが低いとは思わないです。だからこそもっともっとJりーグの価値を上げていく、それを常々自分は意識していますし、選手にも意識してもらっています。
だからこそ選手には『自分たちでJリーグを引っ張っていこう』という話をしています。(若手の移籍は)多くのクラブで起きていることですよね。ただ、そうなっても自分たちは質を落とさずに、次から次へと選手が出てきて、面白いなと思ってもらえるようなサッカーをしたい。
あとは以前に神戸のフェルマーレン選手が“Jリーグの価値”に関して話してくれたことがありましたよね。そういう意味で言うと、海外から来た選手がJリーグの良さを発信してくれるのはありがたく、そういう言葉を発してもらえるような、質を自分たちがやり続けなくてはいけないと思います。選手が最終的にJリーグでやりたいと思ってもらえるような環境にしていくこと、Jリーグで成長できるんだという環境を、もっと作りあげていければなと。毎日、そう思いながらやっているところはあります。ただこれは、各クラブの悩みであり、テーマであり、大きいですよね。答えになっているか分からないのですが、自分はそういう想いでやっています」
もし怪我や移籍などで特定の選手が抜けても、新たな人材が奮闘する。川崎はその好循環を、鬼木監督の下で作り出せていると言えるだろう。
三笘が担っていた左ウイングでは長谷川竜也が果敢にプレーし、ユース出身のプロ2年目の宮城天も存在感を示す。田中が抜けた中盤では、大卒ルーキーの橘田健人が逞しさを増し、ウイングとインサイドハーフを務める22歳の遠野大弥はゴールでアピールする。
「誰かが代わって出てこられる状態を作る。そのためには競争だと思っています。競争を煽るとは言わないですが、競争意識のなかで伸びていくところは当然あります。そしていつチャンスが来ても良いように身体も心も準備をしっかりしておく。それが大事だと思っていて、自分たちの選手はそういうところをしっかりやってくれているかなとは思います」
指揮官も選手たちのサッカーへの臨み方に手応えを感じているようだ。そして、常々語っているように、その成果はコーチ陣の存在なくして、成り立たないと強調する。
「コーチングスタッフの力は本当に大きいんですよ。自分自身でやれる範囲は決まっていますし、選手も自分ではなく、コーチに頼りやすい場面はいくつだってあります。自分もコーチをやってきたので、そういう部分はすごく理解していて、自分から動いてくれるコーチたちはすごく心強いです。そこが一番、今、チームが力があると言われている所以だと、自分はずっと思っているんです」
その面は大きく取り上げてほしいと、鬼木監督は強く語る。
そして、その頼れる仲間たちと取り組んでいるのは、世界基準への挑戦でもある。ブラジルの優勝で幕を閉じた東京五輪からも刺激を受けたという。
「世界基準というものを、意識してやらなくちゃいけないと、今年もそうですが、去年頃から強度の部分などをより意識するようになりました。海外へ行く選手もそうですが、強度や環境を日常に求めたりしていると思います。ただ、そこからですよね。そういう環境や強度は、観ていてすごいなという想いがありながら、そこを追いかけているだけでは、どんどん遅れていくんだろうなという気はしています。
だからこそ、様々なところで、先を見据えてやっていかないといけない。自分たちが何かを真似している時に、世界は次にいってしまうという想いもあって、出来る限りいろんなものを学びながら、ただヨーロッパがやっているから、それが正解なのかなど、様々な面を疑問に考えるのが自分たち指導者には必要なのかなと思いながら、コーチングスタッフと話し合ってやっています」
田中、三笘は海外挑戦を決めた。それでもチームは魅力を示し続けられるように進化を目指していく。その過程は非常に興味深く、今後も日本のサッカーファンを楽しませてくれるはずである。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
三笘が担っていた左ウイングでは長谷川竜也が果敢にプレーし、ユース出身のプロ2年目の宮城天も存在感を示す。田中が抜けた中盤では、大卒ルーキーの橘田健人が逞しさを増し、ウイングとインサイドハーフを務める22歳の遠野大弥はゴールでアピールする。
「誰かが代わって出てこられる状態を作る。そのためには競争だと思っています。競争を煽るとは言わないですが、競争意識のなかで伸びていくところは当然あります。そしていつチャンスが来ても良いように身体も心も準備をしっかりしておく。それが大事だと思っていて、自分たちの選手はそういうところをしっかりやってくれているかなとは思います」
指揮官も選手たちのサッカーへの臨み方に手応えを感じているようだ。そして、常々語っているように、その成果はコーチ陣の存在なくして、成り立たないと強調する。
「コーチングスタッフの力は本当に大きいんですよ。自分自身でやれる範囲は決まっていますし、選手も自分ではなく、コーチに頼りやすい場面はいくつだってあります。自分もコーチをやってきたので、そういう部分はすごく理解していて、自分から動いてくれるコーチたちはすごく心強いです。そこが一番、今、チームが力があると言われている所以だと、自分はずっと思っているんです」
その面は大きく取り上げてほしいと、鬼木監督は強く語る。
そして、その頼れる仲間たちと取り組んでいるのは、世界基準への挑戦でもある。ブラジルの優勝で幕を閉じた東京五輪からも刺激を受けたという。
「世界基準というものを、意識してやらなくちゃいけないと、今年もそうですが、去年頃から強度の部分などをより意識するようになりました。海外へ行く選手もそうですが、強度や環境を日常に求めたりしていると思います。ただ、そこからですよね。そういう環境や強度は、観ていてすごいなという想いがありながら、そこを追いかけているだけでは、どんどん遅れていくんだろうなという気はしています。
だからこそ、様々なところで、先を見据えてやっていかないといけない。自分たちが何かを真似している時に、世界は次にいってしまうという想いもあって、出来る限りいろんなものを学びながら、ただヨーロッパがやっているから、それが正解なのかなど、様々な面を疑問に考えるのが自分たち指導者には必要なのかなと思いながら、コーチングスタッフと話し合ってやっています」
田中、三笘は海外挑戦を決めた。それでもチームは魅力を示し続けられるように進化を目指していく。その過程は非常に興味深く、今後も日本のサッカーファンを楽しませてくれるはずである。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)