• トップ
  • ニュース一覧
  • 【川崎】鬼木達監督が考える若手の海外移籍とチームとしての気概。欧州挑戦を決めた田中碧、三笘薫への温かいエール

【川崎】鬼木達監督が考える若手の海外移籍とチームとしての気概。欧州挑戦を決めた田中碧、三笘薫への温かいエール

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年08月14日

強調するコーチングスタッフの存在

三笘(写真左)や知念に指示を送る鬼木監督。三笘は大卒1年目だった昨季にブレイクし、チームを支えてきた。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 ただし、当たり前であるが、川崎としてはふたりが抜けても戦いは続いていく。Jリーグ全体のテーマでもあるが、若手の活躍は喜ばしいことであるものの、そうすれば、さらなる成長へ新たな環境を選ぶのは必然の流れでもある。こうしたジレンマを各クラブの監督は抱えているはずだが、鬼木監督に訊くと、常に心がけていることがあると話してくれた。

「自分たちはJリーグの魅力を伝え続けないといけないと思います。当然、海外へ挑戦したいという選手は多いですし、これからもっと増えてくるはずです。そういうなかで、自分たちが今、Jリーグでやっていることは、決してレベルが低いとは思わないです。だからこそもっともっとJりーグの価値を上げていく、それを常々自分は意識していますし、選手にも意識してもらっています。

 だからこそ選手には『自分たちでJリーグを引っ張っていこう』という話をしています。(若手の移籍は)多くのクラブで起きていることですよね。ただ、そうなっても自分たちは質を落とさずに、次から次へと選手が出てきて、面白いなと思ってもらえるようなサッカーをしたい。

 あとは以前に神戸のフェルマーレン選手が“Jリーグの価値”に関して話してくれたことがありましたよね。そういう意味で言うと、海外から来た選手がJリーグの良さを発信してくれるのはありがたく、そういう言葉を発してもらえるような、質を自分たちがやり続けなくてはいけないと思います。選手が最終的にJリーグでやりたいと思ってもらえるような環境にしていくこと、Jリーグで成長できるんだという環境を、もっと作りあげていければなと。毎日、そう思いながらやっているところはあります。ただこれは、各クラブの悩みであり、テーマであり、大きいですよね。答えになっているか分からないのですが、自分はそういう想いでやっています」
 
 もし怪我や移籍などで特定の選手が抜けても、新たな人材が奮闘する。川崎はその好循環を、鬼木監督の下で作り出せていると言えるだろう。

 三笘が担っていた左ウイングでは長谷川竜也が果敢にプレーし、ユース出身のプロ2年目の宮城天も存在感を示す。田中が抜けた中盤では、大卒ルーキーの橘田健人が逞しさを増し、ウイングとインサイドハーフを務める22歳の遠野大弥はゴールでアピールする。

「誰かが代わって出てこられる状態を作る。そのためには競争だと思っています。競争を煽るとは言わないですが、競争意識のなかで伸びていくところは当然あります。そしていつチャンスが来ても良いように身体も心も準備をしっかりしておく。それが大事だと思っていて、自分たちの選手はそういうところをしっかりやってくれているかなとは思います」

 指揮官も選手たちのサッカーへの臨み方に手応えを感じているようだ。そして、常々語っているように、その成果はコーチ陣の存在なくして、成り立たないと強調する。

「コーチングスタッフの力は本当に大きいんですよ。自分自身でやれる範囲は決まっていますし、選手も自分ではなく、コーチに頼りやすい場面はいくつだってあります。自分もコーチをやってきたので、そういう部分はすごく理解していて、自分から動いてくれるコーチたちはすごく心強いです。そこが一番、今、チームが力があると言われている所以だと、自分はずっと思っているんです」

 その面は大きく取り上げてほしいと、鬼木監督は強く語る。

 そして、その頼れる仲間たちと取り組んでいるのは、世界基準への挑戦でもある。ブラジルの優勝で幕を閉じた東京五輪からも刺激を受けたという。

「世界基準というものを、意識してやらなくちゃいけないと、今年もそうですが、去年頃から強度の部分などをより意識するようになりました。海外へ行く選手もそうですが、強度や環境を日常に求めたりしていると思います。ただ、そこからですよね。そういう環境や強度は、観ていてすごいなという想いがありながら、そこを追いかけているだけでは、どんどん遅れていくんだろうなという気はしています。

 だからこそ、様々なところで、先を見据えてやっていかないといけない。自分たちが何かを真似している時に、世界は次にいってしまうという想いもあって、出来る限りいろんなものを学びながら、ただヨーロッパがやっているから、それが正解なのかなど、様々な面を疑問に考えるのが自分たち指導者には必要なのかなと思いながら、コーチングスタッフと話し合ってやっています」

 田中、三笘は海外挑戦を決めた。それでもチームは魅力を示し続けられるように進化を目指していく。その過程は非常に興味深く、今後も日本のサッカーファンを楽しませてくれるはずである。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
【関連記事】
【五輪代表 全22選手の通信簿】最高のS評価は4人。厳しい査定となった3選手は…/東京五輪
【セルジオ越後】どう出るか分からない神戸の大型補強だが…厳しい現実を味わってきた大迫や武藤の反骨心に期待
【ヴィッセル最強布陣はコレだ】"半端ない"新生3トップ!大迫とイニエスタのホットラインが開通か
「悩んだ右SB。世界と戦う時にどんな能力が欲しいか考えたら」酒井高徳が選ぶ“日本代表・歴代最強ベスト11”
【川崎】レアンドロ・ダミアン、ジョアン・シミッチからのエール。欧州挑戦の田中碧、三笘薫へ送ったメッセージ

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ