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【識者の視点】棒立ちの相手にパスは回ったが、強化としては「?」 協会は過去の教訓を活かすべき

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年06月12日

ピッチ上の戦い方に限らず、強化策には抜本的な発想の転換が必要だ。

ハリルホジッチ監督は試合内容に「ブラボー」を繰り返したが、今後のテストマッチの相手を考えれば大勝に安穏とはしていられないだろう。写真:田中研治

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 ハリルホジッチ監督は、シンガポール戦以降の2次予選を睨んだメンバー、布陣で、イラク戦を戦った。だがひとつだけ疑問符がつくのは、GKの選択だ。
 
「もっと存在感を見せつけてほしい」
 それが守護神に対する要望だった。だが川島は、十分に応え続けているのだろうか。
 
 58~59分は、日本が連続してピンチに遭遇した唯一の時間帯だった。特に59分には、川島が直接相手のFKをフィスティングをするが、十分に弾けずそのままフリーのサード・アブドゥルアミールにヘディングで叩かれている(槙野智章がクリア)。
 
 ほとんど守備機会がない試合なら、ビルドアップが得意な西川周作を試してもいいし、少なくとも所属クラブでプレーをしていない状況を考えても、もっと競わせておくべきポジションではないだろうか。
 
 ただそれ以上に気がかりなのは、根本的な日本代表の強化である。霜田正浩技術委員長は「最終予選でライバルになる相手を叩くという意味でも重要」とイラク戦を位置づけていた。
 
 しかし今後約1年間で、日本代表は明らかに格下との対戦に時間を割かれる。そのためにも準備が必要なら、2次予選の相手より若干格上のイラクは適度な刺激になるのだろうが、ホームの大観衆の前で、ほぼ無抵抗の相手を崩して「ブラボー」と繰り返していたのでは、肝心な大舞台で手痛いしっぺ返しを食う。それはジーコやザックが十分に学習させてくれたはずである。
 
 サッカーではなにが起こるか分からないし、ワールドカップ予選では失敗が許されないことも事実だ。だがそれでも2次予選は、誰が指揮を執ってもノーリスクだ。シンガポールやカンボジアを倒すために、欧州から大量に選手を呼び戻してベストメンバーを組むほど非効率なことはない。
 
 それなら欧州組は即席の選抜チームとして現地でアウェー戦に臨み、予選は国内組で戦うなど、地理的なハンディを克服するための独自なアイデアなしに世界との差が縮まるとは思えない。ピッチ上の戦い方に限らず、むしろそれ以上に、強化策には抜本的な発想の転換が必要だ。
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)

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