最後に遠藤航に代えて三好康児を送り込み4-3-3に変更したのが残り10分。あまりに遅きに失した
何より今大会の日本は、参加チームの中で最も万全の準備ができたはずだ。ところがこうして追いかける展開で、相手が困惑するような攻撃的な策を持たなかった。取り敢えず無難な一手で様子を見るくらいなら、大胆に中山雄太→板倉滉で、酒井宏樹と相馬を両ワイドに配し、久保建英と堂安律はシャドーに移して3-4-3で仕掛けに出る手もあった。もともと3バックでスタートしたチームだし、率直にチームの得点源として最も決め切る力を持つのは久保と堂安なので、さらにゴールに近い位置でプレーすれば相手も脅威を感じたはずだ。もちろん知名度の問題もあるが、スペイン戦でも久保が仕掛けに入る時にはDFも飛び込まず、敬意と警戒を表していた。
最後に遠藤航に代えて三好康児を送り込み4-3-3に変更したのが残り10分。あまりに遅きに失した。それでもカードを切り、変化を加えていくことでメキシコ側も対応に苦慮し、セットプレーも含めて終盤は日本もチャンスを創出した。グループリーグでは、日本も10人になったメキシコに1点を返されたが、単純でもファイティングポーズを取り続ければリードする側も怯み隙が出る。
サッカーで2点のリードは最も危ういと言われる。だがそれは追う側が、迅速に有効策を繰り出すことが条件になる。
文●加部 究(スポーツライター)
サッカーで2点のリードは最も危ういと言われる。だがそれは追う側が、迅速に有効策を繰り出すことが条件になる。
文●加部 究(スポーツライター)