今夏の主役候補（20）
アントワーヌ・グリエーズマン（MF／アトレティコ・マドリー）
 
　F・トーレス、アグエロ、フォルラン、ファルカオ、そしてD・コスタ。アトレティコ・マドリーはここ数年、ほぼ途切れることなく大物FWを輩出してきた。
 
　そして今夏、その名ストライカーの系譜に連なり、メガクラブへ旅立つ可能性があるのが、14-15シーズンのリーガ・エスパニョーラで22ゴールを叩き出し、ネイマールと並んで得点ランキングの３位タイに入ったアントワーヌ・グリエーズマンだ。
 
　フランス人でありながらレアル・ソシエダの下部組織で育った異色のキャリアを持つテクニシャンには、バイエルン、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなどが強い関心を示している。
 
「グリエーズマンは市場に出ていない」
　アトレティコのエンリケ・セレソ会長は、一貫して放出を否定している。だが、高齢化が進む中盤センターや左サイドバックの強化、退団が有力視されるFWマンジュキッチの後釜確保など、多くの課題を抱えているだけに、設定されている違約金6500万ユーロ（約91億円）に近い高額のオファーが届けば、おそらくノーとは言えないだろう。
 
　ただ、ユナイテッドはすでにメンフィス・デパイの獲得を決めており、チェルシーはモウリーニョ監督みずから、「この夏のターゲットではない」と、グリエーズマン獲得の噂を否定したばかり。
 
　バイエルンは高額な違約金がネックになっている。このドイツ王者が選手一人の獲得に費やした過去最高額は、12年夏のハビ・マルティネスに投じた4000万ユーロ（約56億円）。アトレティコの要求額とは2000万ユーロ（約28億円）以上の開きがある。
 
　残留説が有力なのは、本人の意向も関係している。というのも、来年６月に自国開催のEUROを控えているため、フランス代表でいまだ絶対的な地位を確立していないグリエーズマンは移籍に慎重になっているのだ。
 
　アトレティコにもう１年留まって、さらに実績を上げ、フランス代表の主役としてEUROを戦ったあとに、メガクラブへのステップアップを狙う。そんなシナリオを描いているようだ。

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