田中は余裕を持って視野を広げながらボールをコントロール
ほんの20秒ほど前と同じシチュエーションで、南アフリカは相馬に良い形でドリブルを仕掛けさせたくない。そこで右サイドバックのフロスラーはかなり距離を詰めてきたが、相馬は相手が拍子抜けするほど冷静に、手前でフリーになった田中に戻し気味のパスを出した。
なぜ田中がフリーになったのか。そこにも日本のチームとしての狙いが表われていた。
相馬にパスを出した中山は、そこから相馬の内側、いわゆるハーフスペースを狙う動きをした。右サイドハーフのセレは中山の動きを警戒しながらも、相馬がマイナスにカットインした場合に備えてワイドに流れながら、それで生じるスペースを埋めるように指示したのだ。それに応じて中央のグッドマンが下がって埋めに行くが、田中はそうした流れと逆の動きをすることでフリーになった。
そこから相馬のパスが出た時には田中は余裕を持って視野を広げながらボールをコントロールして、久保のポジションを確認。南アフリカもディフェンスをプッシュアップするが、それだけ余裕を与えてしまうと正確なキックを持つ田中にはほぼ無力だ。絵に描いたようなループのパスがボックス右の久保に通った。
この流れでもう一人効果的な動きをしていたのが堂安だ。久保と一時的にポジションチェンジをしていた堂安がブロックの間で、田中から斜めのパスが出せるところにポジションを取ることで、左ボランチのモコエナが中央に絞らざるをえなくなった。左サイドハーフのシンは遠藤と酒井宏樹のチェックをするため前に出ていたので、モコエナが絞ると言うことは田中と久保のパスルートを完全に開けてしまうことになる。
なぜ田中がフリーになったのか。そこにも日本のチームとしての狙いが表われていた。
相馬にパスを出した中山は、そこから相馬の内側、いわゆるハーフスペースを狙う動きをした。右サイドハーフのセレは中山の動きを警戒しながらも、相馬がマイナスにカットインした場合に備えてワイドに流れながら、それで生じるスペースを埋めるように指示したのだ。それに応じて中央のグッドマンが下がって埋めに行くが、田中はそうした流れと逆の動きをすることでフリーになった。
そこから相馬のパスが出た時には田中は余裕を持って視野を広げながらボールをコントロールして、久保のポジションを確認。南アフリカもディフェンスをプッシュアップするが、それだけ余裕を与えてしまうと正確なキックを持つ田中にはほぼ無力だ。絵に描いたようなループのパスがボックス右の久保に通った。
この流れでもう一人効果的な動きをしていたのが堂安だ。久保と一時的にポジションチェンジをしていた堂安がブロックの間で、田中から斜めのパスが出せるところにポジションを取ることで、左ボランチのモコエナが中央に絞らざるをえなくなった。左サイドハーフのシンは遠藤と酒井宏樹のチェックをするため前に出ていたので、モコエナが絞ると言うことは田中と久保のパスルートを完全に開けてしまうことになる。
そうした流れのメカニズムを日本の選手たちがどれだけ正確に把握して、このゴール前の形を完成させたかは感覚的な世界もあるかもしれないが、左で起点のパスを出した後にファーサイドを狙う動きをした相馬、ゴール前の中央で3人のディフェンスを引きつけた1トップの林、ハーフスペースを狙う動きからクロスを選択した場合のターゲットとして前目にポジションを取り続けた中山と、全ては久保のシュートに結び付く効果的な動き、ポジショニングになっていたことは確かだ。
このゴールを1本のドラマに例えるなら、文句なしの主役は久保、助演は田中となるが、そのお膳立てをした相馬、さらには流れを作った板倉、遠藤、中山、そしてボールには関わらなかったものの黒子的な働きをした堂安と林が効果的に関わって生まれたゴールであり、その前に布石のプレーがあったことも見逃せない。
サッカーは連続性のスポーツなので、そのシーンを見極めることも大事だが、そこに至る流れも見ることで、メカニズムを知る深みは増していくはずだ。
文●河治良幸
【五輪代表PHOTO】スペイン、ドイツ、ブラジル…スター選手も参戦する東京オリンピック参加の男子16チームを紹介!
このゴールを1本のドラマに例えるなら、文句なしの主役は久保、助演は田中となるが、そのお膳立てをした相馬、さらには流れを作った板倉、遠藤、中山、そしてボールには関わらなかったものの黒子的な働きをした堂安と林が効果的に関わって生まれたゴールであり、その前に布石のプレーがあったことも見逃せない。
サッカーは連続性のスポーツなので、そのシーンを見極めることも大事だが、そこに至る流れも見ることで、メカニズムを知る深みは増していくはずだ。
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