香川にはゲームメイクにも顔を出す働きを。
遠藤:今夏の補強ポイントのひとつとしてGKを挙げるメディアは少なくありませんが、いよいよヴァイデンフェラーの立場が危うくなってきましたね。
中野:彼個人のミスがすべての原因とは言いませんが、チームの失点数が多かった(42)のと、ヴァイデンフェラー自身がファインセーブでチームを救うことが少なくなっていたのは事実です。
フライブルクのビュルキが新戦力候補に挙がっているようですし、世代交代が必要かもしれません。
遠藤:変革の時を迎えていますし、退団は大いにありそうですね。ケールに続き、ヴァイデンフェラーが去るとなると、トップチーム在籍が9シーズン目となるブワシュチコフスキやシャヒン、フンメルスが最古参になります。
中野:昔からの選手がいなくなるのは寂しいですね。ただ、ドルトムントのサッカーはしっかりと継続されている。この3人には戦力的にも、人間的にも支柱となって、チームをまとめあげてほしいです。
遠藤:日本のファンが気にしているのは、やはり香川でしょう。トゥヘルはかつて、その香川に定位置を奪われ、マインツに出戻りしたジダンを再生しました。
その後はイバンシュイツという技巧派レフティをトップ下で重用していましたね。来シーズンの香川には何を期待していますか?
中野:前述のギュンドアンの件にかかわる話ですが、これまでのチャンスメイクだけではなく、ゲームメイクにも顔を出す働きを期待しています。
チームが苦しんでいる時に試合を落ち着かせ、ここぞという場面で決定的な違いを作り出すようなプレーです。それだけのことが求められる年齢ですし、チームを引っ張る存在になってほしいですね。
遠藤:好調でシーズンを締め括りましたし、復帰2シーズン目も大いに楽しみです。
中野:日本人なら、丸岡満にも注目しています。4節にブンデスリーガ・デビューを飾りましたが、その後はトップチームでのプレー機会に恵まれなかったので、日本ではあまり話題になっていなかったかと思います。
ただ、まだユースの選手がトップチームの練習に参加したり、セカンドチームでプレー機会を得ているのは高く評価されるべき。それからU-19版チャンピオンズ・リーグと言われるUEFAユースリーグを経験するなど、選手としての経験値は着実に蓄えられています。
トップチームに昇格できないとダメとかではなく、焦らずに毎日を大切にして、ステップアップしてほしいですね。
遠藤:デビュー戦はわずか10分ほどの出場でしたが、2ボランチの一角で好プレーを連発していました。どういった特徴を持つ選手でしょうか?
中野:U-23を率いるデイビッド・ワグナー監督(元アメリカ代表FW)は、
「鋭いパスを繰り出すことができるスリリングな選手。力強いドリブル、精緻なパス、柔らかいボールタッチ、常に素早く、鋭い動きをし、運動量がある。学習能力が高く、攻撃的なポジションならばどこでもこなせるのも魅力だ」
と評価しています。
ミスを恐れずに、何度もチャレンジしていく姿勢はドイツ人好みでもありますね。
【識者プロフィール】
中野吉之伴
1977年生まれ。ドイツ・サッカー連盟公認A級ライセンス保持者(UEFA-Aレベル相当)で、現在は4部リーグに所属するFCアウゲンU-19監督を務める。育成のエキスパートになるため、大学卒業後に渡独。生活に密着しているドイツ・サッカーの奥深さを日本に還元することをテーマとし、体罰や偏見なく、だれでもサッカーが生涯楽しめる社会になることを夢見ている。最近は執筆業にも精力的に力を注ぐ。
遠藤孝輔
1984年、東京都中野区生まれ。2005年からワールドサッカーダイジェストEXTRA、07年からワールドサッカーダイジェスト編集部に所属し、ドイツ代表およびブンデスリーガを担当。ニコニコ生放送の「ブンデスリーガチャンネル」でゲスト解説を務めた時期も。ドイツ以外の欧州サッカーにも精通し、日本代表のアギーレ前監督が退任した際、真っ先にハリルホジッチを後任候補のひとりに挙げた。14年に日本スポーツ企画出版社を退社。現在はフリーライター兼編集者として活躍する。
中野:彼個人のミスがすべての原因とは言いませんが、チームの失点数が多かった(42)のと、ヴァイデンフェラー自身がファインセーブでチームを救うことが少なくなっていたのは事実です。
フライブルクのビュルキが新戦力候補に挙がっているようですし、世代交代が必要かもしれません。
遠藤:変革の時を迎えていますし、退団は大いにありそうですね。ケールに続き、ヴァイデンフェラーが去るとなると、トップチーム在籍が9シーズン目となるブワシュチコフスキやシャヒン、フンメルスが最古参になります。
中野:昔からの選手がいなくなるのは寂しいですね。ただ、ドルトムントのサッカーはしっかりと継続されている。この3人には戦力的にも、人間的にも支柱となって、チームをまとめあげてほしいです。
遠藤:日本のファンが気にしているのは、やはり香川でしょう。トゥヘルはかつて、その香川に定位置を奪われ、マインツに出戻りしたジダンを再生しました。
その後はイバンシュイツという技巧派レフティをトップ下で重用していましたね。来シーズンの香川には何を期待していますか?
中野:前述のギュンドアンの件にかかわる話ですが、これまでのチャンスメイクだけではなく、ゲームメイクにも顔を出す働きを期待しています。
チームが苦しんでいる時に試合を落ち着かせ、ここぞという場面で決定的な違いを作り出すようなプレーです。それだけのことが求められる年齢ですし、チームを引っ張る存在になってほしいですね。
遠藤:好調でシーズンを締め括りましたし、復帰2シーズン目も大いに楽しみです。
中野:日本人なら、丸岡満にも注目しています。4節にブンデスリーガ・デビューを飾りましたが、その後はトップチームでのプレー機会に恵まれなかったので、日本ではあまり話題になっていなかったかと思います。
ただ、まだユースの選手がトップチームの練習に参加したり、セカンドチームでプレー機会を得ているのは高く評価されるべき。それからU-19版チャンピオンズ・リーグと言われるUEFAユースリーグを経験するなど、選手としての経験値は着実に蓄えられています。
トップチームに昇格できないとダメとかではなく、焦らずに毎日を大切にして、ステップアップしてほしいですね。
遠藤:デビュー戦はわずか10分ほどの出場でしたが、2ボランチの一角で好プレーを連発していました。どういった特徴を持つ選手でしょうか?
中野:U-23を率いるデイビッド・ワグナー監督(元アメリカ代表FW)は、
「鋭いパスを繰り出すことができるスリリングな選手。力強いドリブル、精緻なパス、柔らかいボールタッチ、常に素早く、鋭い動きをし、運動量がある。学習能力が高く、攻撃的なポジションならばどこでもこなせるのも魅力だ」
と評価しています。
ミスを恐れずに、何度もチャレンジしていく姿勢はドイツ人好みでもありますね。
【識者プロフィール】
中野吉之伴
1977年生まれ。ドイツ・サッカー連盟公認A級ライセンス保持者(UEFA-Aレベル相当)で、現在は4部リーグに所属するFCアウゲンU-19監督を務める。育成のエキスパートになるため、大学卒業後に渡独。生活に密着しているドイツ・サッカーの奥深さを日本に還元することをテーマとし、体罰や偏見なく、だれでもサッカーが生涯楽しめる社会になることを夢見ている。最近は執筆業にも精力的に力を注ぐ。
遠藤孝輔
1984年、東京都中野区生まれ。2005年からワールドサッカーダイジェストEXTRA、07年からワールドサッカーダイジェスト編集部に所属し、ドイツ代表およびブンデスリーガを担当。ニコニコ生放送の「ブンデスリーガチャンネル」でゲスト解説を務めた時期も。ドイツ以外の欧州サッカーにも精通し、日本代表のアギーレ前監督が退任した際、真っ先にハリルホジッチを後任候補のひとりに挙げた。14年に日本スポーツ企画出版社を退社。現在はフリーライター兼編集者として活躍する。