五輪はW杯以上の総力戦。サブ組が出てきて跳ね返す力を出せなければ、メダルへの道は遠のく
しかしながら、OA3人や堂安ら主力7人を下げた後半はそうはいかなかった。確かに久保と三好康児(アントワープ)の連携は悪くなかったし、前田大然(横浜)は彼らしい爆発的スピードでゴールに迫っていた。負傷から復帰した上田綺世(鹿島)も途中からピッチに立つという明るい材料もあった。が、温存していたペドリやエリック・ガルシア(バルセロナ)らを次々と投入してきたスペインは後半に入って戦力が落ちるどころか、もう一段階ギアを上げてきた印象もあったが、日本はどうしても迫力低下を余儀なくされる。
「後半、残り20分間はかなりしんどいなと思って見ていました。4バックに加えて両ウイングが下がって6バック気味になっていた。前田大然や相馬がサイドバックと同じラインまで下がらないといけなくなってしまうと、ボールを奪った時の選択肢がない。相手の戦い方にリアクションするだけだとかなり苦しくなる」と外から見ていた吉田も苦渋の表情を浮かべたが、体力的にフレッシュな面々で戦っていても完全な劣勢を強いられ、力技でゴールを奪われるのはやはり厳しい。
加えて言うと、日本はもともと終盤の弱さという課題を抱えている。2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)のベルギー戦(ロストフ)の分析によれば、前半45分間のアクチュアル・プレータイム(ACPT)は両者互角だったが、乾貴士の2点目が入った時点で59対41とすでに格差が生まれ、ベルギーに2点を返された時点で63対37とさらに差が拡大。ロストフの悲劇が起きた時には57対43と日本は劣勢のままだったという。
「後半、残り20分間はかなりしんどいなと思って見ていました。4バックに加えて両ウイングが下がって6バック気味になっていた。前田大然や相馬がサイドバックと同じラインまで下がらないといけなくなってしまうと、ボールを奪った時の選択肢がない。相手の戦い方にリアクションするだけだとかなり苦しくなる」と外から見ていた吉田も苦渋の表情を浮かべたが、体力的にフレッシュな面々で戦っていても完全な劣勢を強いられ、力技でゴールを奪われるのはやはり厳しい。
加えて言うと、日本はもともと終盤の弱さという課題を抱えている。2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)のベルギー戦(ロストフ)の分析によれば、前半45分間のアクチュアル・プレータイム(ACPT)は両者互角だったが、乾貴士の2点目が入った時点で59対41とすでに格差が生まれ、ベルギーに2点を返された時点で63対37とさらに差が拡大。ロストフの悲劇が起きた時には57対43と日本は劣勢のままだったという。
「時間が経つごとにボールをつなげなくなり、デュエルの勝率も低下。リアクションの守備が多くなって最終的に負けに至った。見る人の多くはパワープレーでやられた印象があるかもしれないが、実際にはそうではない。だからこそ、フィジカルを上げ、ボールを握ってインテンシティを上げないといけない。デュエルが五分五分ならば、日本の技術力があれば世界に勝てる。そう選手に伝えています」と森保一監督も説明していたことがあった。その分析を踏まえても、スペイン戦の後半の戦い方は大いに改善の余地があるのだ。
仮にこの試合で吉田や堂安ら主力がフル出場していたとしても、前半から相手に主導権を握られたダメージもあって、やはりペースダウンは避けられないだろう。そういう時こそ、ベンチで控えている面々が奮起しなければいけない。後半からボランチコンビを組んだ板倉・田中碧(デュッセルドルフ)はもっとボールを保持して正確にパスをつないでほしいし、三好や相馬らアタッカー陣も行くところと落ち着かせるところの判断をよりハッキリさせるべきだ。
ベンチ入り18人の五輪はW杯以上の総力戦。サブ組が出てきて跳ね返す力を出せなければ、メダルへの道は遠のく。22日の初戦・南アフリカ戦(東京)までの準備期間はわずか4日。やれることは少ないかもしれないが、全員が最大限の努力を払って本番に突入するしかない。彼らの底力を今一度、信じたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
仮にこの試合で吉田や堂安ら主力がフル出場していたとしても、前半から相手に主導権を握られたダメージもあって、やはりペースダウンは避けられないだろう。そういう時こそ、ベンチで控えている面々が奮起しなければいけない。後半からボランチコンビを組んだ板倉・田中碧(デュッセルドルフ)はもっとボールを保持して正確にパスをつないでほしいし、三好や相馬らアタッカー陣も行くところと落ち着かせるところの判断をよりハッキリさせるべきだ。
ベンチ入り18人の五輪はW杯以上の総力戦。サブ組が出てきて跳ね返す力を出せなければ、メダルへの道は遠のく。22日の初戦・南アフリカ戦(東京)までの準備期間はわずか4日。やれることは少ないかもしれないが、全員が最大限の努力を払って本番に突入するしかない。彼らの底力を今一度、信じたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)