金メダル候補相手に見えた日本のポテンシャルと限界点。上位進出へ克服すべき問題は?

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2021年07月18日

「(スペインは」サッカーをよく知っている。サッカーの知識の多さでやられるシーンが多かった」と堂安

日本は前半、劣勢に立たされながらも堂安のゴールで先制。ワンチャンスをモノにできるポテンシャルの高さを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 EURO2020のベストイレブンに選ばれたペドリ(バルセロナ)こそベンチスタートだったものの、ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)やダニ・オルモ(ライプツィヒ)らA代表の主力を先発起用してきた17日のU-24スペイン代表。迎え撃つU-24日本代表としては「劣勢の中でも粘って勝機を見出す」というこれまでの親善試合とは違った戦いを求められた。

「押し込まれる展開も増えてくる中で自分個人として何ができるかをもう一度、確かめたい」と久保建英(レアル・マドリー)が発言した通り、チーム全体が明確なテーマを掲げて試合に入った。

 スペインは案の定、強かった。
「彼らはサッカーをよく知っている。見なくてもワンタッチで出せば味方がいるだろうとか、敵が来ないだろうといった賢さを感じたし、サッカーの知識の多さでやられるシーンが多かった」と堂安律(PSV)も舌を巻いたが、確かに彼らの連携連動は急造チームとは思えないレベルだった。

 とりわけ目を引いたのが、アンカーのマルティン・スピメンディ(レアル・ソシエダ)を起点とした配球。彼が遠藤航(シュツットガルト)と板倉滉(フローニンへン)の両ボランチの背後を狙い、インサイドハーフのミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)とダニ・セバジョス(レアル・マドリー)に飛び出させ、さらに両サイドを効果的に使うことで、日本の守備陣はギリギリのところまで追い詰められた。

 本来なら、久保がスピメンディにもっと寄せてプレスのスイッチを入れなければいけなかったが、それをさせてもらえなかった。それでも、なんとか吉田や冨安健洋(ボローニャ)らが最後のところでピンチを阻止。酒井宏樹(浦和)もひとりでダニ・オルモとフアン・ミランダ(レアル・ベティス)の2人と駆け引きしながら決定機を作らせなかった。森保一監督が絶対的信頼を寄せる守備の3枚が光ったことで前半の一番苦しい時間帯をしのげた。それは本番に向けて自信になったはずだ。
 
 そのうえで、久保と堂安が連携し、林大地(鳥栖)や相馬勇紀(名古屋)も絡みながら攻撃チャンスをじわじわと作り出した。前半30分の飲水タイムまでは得点機らしい得点機はなかったものの、酒井宏樹のクロスに林が飛び出した35分の惜しいチャンス、再び林が強引に抜け出して左足でシュートを放った40分の決定機など可能性が見えてくる。

 堂安の先制点が生まれたのはこの直後。久保がスピメンディをなぎ倒すドリブル突破で前線に侵入。相馬がフラフラとマークを引きつけ、堂安も逆サイドから迷いなく飛び込んで左足を振り抜く。個の能力とコンビネーションがうまく噛み合った理想的なシーンだったと言っていい。

 一時はボール支配24%という苦境に瀕しながらも、ワンチャンスから点が取れるという勝負強さと鋭さは96年アトランタ大会以降の過去の五輪ではなかなか見られなかったもの。53年ぶりのメダル獲得を期待されるだけのポテンシャルを示したのは確かだ。

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