今や日本代表に選ばれるまでになった、その成長は驚くべきものだ。

　そもそもプロ入りも簡単ではなかった。中央大に所属していた古橋は様々なクラブの練習に参加するも、色よい返事はもらえず、プロサッカー選手になる夢を諦めかけていたという。

　ようやくFC岐阜に拾ってもらうことになったのが大学４年の12月だった。しかし、それから大木武監督の攻撃的なスタイルを身体に叩き込むと、その戦術のなかで持ち前のスピードと得点センスを発揮し、プロ１年目の17年シーズンから主力として活躍した。

　それから毎年着実にステップアップを遂げ、いまやリーグを代表する選手になれたのは、本人は「たくさんの人の支えがあったから」というが、古橋自身に、優勝した時でも常に自分を客観視し、常に課題に向き合う姿勢があったからでもある。

　そうやって、ひとつずつ階段を上ってきた古橋だからこそ、ヨーロッパでの困難も乗り越えられるはずだと感じさせる。
 

　７月18日に開かれた移籍壮行式のあと、古橋は初の欧州挑戦について話した。

「絶対壁はある。でもそれを乗り越える自信が今はある。とにかくやり続けることが大事だなって、自分のプレーをやり続ければ、自然とチームメイトは信頼してくれると思います。語学の面で英語を話せないからというのは理由にしたくないので、これから勉強して喋れるようになりたいし、どんどんコミュニケーションをとって、輪に入って、信頼関係を作っていきたいです」

　26歳での海外挑戦。「正直言うと、今年の夏がラストチャンスだと思っていた」というが、不安はない。

「正直、海外の選手からしたら歳はいっているほう。でも26歳で海外に行けるんだぞ、セルティックという素晴らしいクラブにいけるんだぞというのは、希望を与えられる。そして行って終わりじゃなくて、行って活躍することで、いろんな人にまた希望を与えられる」

　力強くそう言えるのは、それだけ積み重ねてきた自負があるからだ。むしろJリーグで得点ランクトップという誇れる実績を残し、自信をつけた今こそ、古橋にとっては欧州挑戦のベストタイミングと言える。

　きっとセルティックでもその快足を飛ばしてゴールを量産してくれるだろう。次にドアを開けて部屋に入ってきた時には、スコッチウイスキーの臭いがしそうだ。

取材・文●多田哲平（サッカーダイジェスト編集部）

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