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「非常事態時に東京五輪をやっている場合か」との意見もあるなか、村井チェアマンが自国開催で考えるスポーツの価値

カテゴリ:白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

サッカーダイジェスト編集部

2021年07月21日

Jリーグのサポーター間でクラスターがないのは…

Jリーグではここまでサポーター間でクラスターはない。運営者と観戦者の信頼関係があってこその実績だろう。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 ここまでお客様の間でクラスターがないのは、サッカーを愛する方々、ファン・サポーターの方々のおかげです。昨季の開幕当初は我々Jリーグのスタッフも混乱していて「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」に「太鼓等の鳴り物の使用禁止」「手拍子禁止」との項目も入れていましたが、太鼓を叩いても、手拍子しても飛沫感染にはならないという当たり前の事実にあとで気づくわけです。

 しかし、そうやってガイドラインをアップデートしただけでは感染防止になりません。我々が開示した情報を受け取ったファン・サポーターの方々がルールを守って、初めて成立する。その点で、サッカーを守るためにお客様は当事者として大へんな努力をしてくれました。

 Jリーグの場合、最初は観戦ルールをかなり窮屈なものにしました。ゴルフでいう「フェアウェイ」(芝生を短く刈りそろえ整備されたエリア)に凄い数のOB杭を打って、プレー可能なエリアを極端に狭める、そういった話をJリーグの実行委員会でしたのを覚えています。未知のウイルスに対して疑心暗鬼となり、だから「太鼓禁止」「手拍子禁止」という項目も設けたわけです。

 日本野球機構とも議論を重ねていくうちに「飛沫の危険性がある指笛はダメだけど、手拍子は大丈夫」「アルコールもお客様が声を出さなければOK」と段階的にOB杭を外してフェアウェイを広げていきましたが、そこにはお客様との信頼関係がありました。我々がいくらルールを整備しても、それを守る側がしっかりしないといけない。その点で、我々とファン・サポーターの間には確かな信頼関係があったと確信しています。

 しかし、これはあくまでJリーグの話。東京五輪と同じ土俵で考えてはいけません。五輪は個人種目もあれば、団体競技もあります。屋内、屋外の違いもありますし、単一競技のJリーグとは規模が違います。

 しかも東京五輪は短期間(7月21日~8月8日)の間に毎日競技が行なわれるわけで、何か起きた場合に立て直す時間が限られます。ですので、Jリーグとはまるで構造が異なるものと捉えるべきです。これまで我々が蓄積してきたエビデンス(検証結果)はひとつの知見、ひとつの側面として提供はできますが、五輪の感染防止につながるかと言えば確証はありません。
 
 結局、多くの地域で無観客での開催が決まりましたが、それでも、観戦者の協力なしに五輪の成功はないと断言できます。

 本来であれば、たとえば遅い時間帯までかかりそうな競技は無観客に、分散退場が可能で会場から最寄りの駅まで密にならない状態を作れるなら観客を入れるといったように、丁寧な議論を重ねることが必要なはずですが、細かい部分を省いて東京五輪という括りで「観客あり・なし」という極論になってしまった印象があり、そこについてはそうならないような方法論があったのではないかという想いもあります。
 
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