ブンデス1部昇格を逃したカールスルーエに山田大記が抱く「感謝の思い」とは?

カテゴリ:ワールド

山口裕平

2015年06月02日

入れ替え戦には「連れてきてもらった」という気持ちのほうが強かった。

先発出場した入れ替え戦では72分までプレー。カールスルーエの勝利は目前だったが……。(C) Getty Images

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 山田が「力不足」を感じたのはこの試合に限ってのことだけではない。今季のカールスルーエは2位で自動昇格を勝ち取るチャンスが十分にあったが、勝負どころで勝点を積み上げられず、最終的に3位で入れ替え戦に回ることになった。
 
 山田自身にも後半戦は得点がなく、結果を残してチームの勝利に貢献できなかったという思いがある。
「もちろん『たられば』ですけど、後半戦で3、4点取れていれば、チームの勝利に直結して2位で終われたんじゃないかな、という気持ちがやっぱりあるので、個人としてもすごく力不足は感じました」
 
 チームとしても、山田としても1部昇格を勝ち取るにはまだ力が及ばなかったということになる。
 
 もちろん、1部昇格を争うようなチームで先発の座を勝ち取るのも簡単なことではない。移籍初年度で公式戦36試合に出場し、6得点・8アシストを記録。冬には中東クラブから300万ユーロというオファーが届いた。
 
 だが、トットSDがこのオファーを拒否する決断を下すのに、ほとんど時間は必要なかった。この日本人アタッカーが、前半終了時にはチームで最も危険な選手になっていたからだ。
 
 すっかりカールスルーエの主力となった山田だが、自身には中心になったという自覚はなく、むしろこの入れ替え戦には「連れてきてもらった」という気持ちのほうが強かったという。それはチームに暖かく迎え入れてもらい、点が取れなかった後半戦も使い続けてもらったというチームへの感謝の思いだった。
 
 1部で戦いたいという気持ちはもちろん強いが、この試合の前には、チームに恩返しをしたいとさえ感じていたという。だからこそ、昇格してそれを果たせなかった悔しさは大きい。だが、恩返しのチャンスがなくなったわけではない。
 
 現状「オファーがない」という状況で、来季の去就は不明だ。1部へ移籍することになればチームにはお金が残るし、1部での活躍が恩返しにもなるだろう。カールスルーエに残ることになれば、1部昇格を目指す戦いに今季の悔しさをぶつけ、今度こそ昇格を果たせばいい。
 
 いずれにせよ、恩返しの成否は来季の山田のプレーに掛かっているのだ。シーズン最後に経験した悔しさを糧に、さらに成長した山田の姿に期待したい。
 
取材・文:山口裕平
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