強国ドイツの秘密を探るうちに…。村井チェアマンが辿り着いた“驚愕の事実”

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2021年06月28日

戦術の徹底やコンディション以上に…

14年W杯のコートジボワール戦、日本はドログバ(11番)の投入で結果的に混乱してしまった。写真:サッカーダイジェスト

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 当時のワールドカップで日本代表はコートジボワール代表とグループリーグ初戦を戦いました。本田圭佑選手のゴールで日本が幸先よく先制した試合は、そこから膠着状態に陥ります。アルベルト・ザッケローニ監督がベンチから叫んでも選手に声が届かない状態で、天気も不安定。雨が降ったり止んだりするなか、ピッチはスリッピーでした。そうした状況下で後半、コートジボワールの主砲であるディディエ・ドログバ選手が投入されるのです。

 地響きのような歓声が上がるスタジアムで、日本の選手たちに求められたのが冷静な判断力でした。この状況でチームメイトは平常心でプレーできているのか、ピッチの状態はどうか、全体的にラインを下げたほうがいいか、それともコンパクトな陣形を保ったほうがいいか、ドログバ選手にマンマークを付けたほうがいいか、いろいろある打ち手のなかでまずは何を確認し、何を実行すべきかを決めなければなりませんでしたが……。結果はご存知の通り、1-2の逆転負け。この日の日本は判断力に欠けたと、そんな見方もできるのではないでしょうか。

 一方でドイツはブラジルの地でワールドカップを制しました。有事に備えて普段から判断力などを磨くトレーニングをしていたからこその優勝とも言えました。サッカーにおいて戦術の徹底やコンディション以上に重要なファクターがあるという事実を、ドイツから学んだような気がします。
 
 そんなドイツの育成面を深掘りすると、彼らはベルギーの『ダブルパス』社というベンチャー企業に自国のクラブの育成システムを評価してもらっていました。「フィロソフィ」「メソッド」など全400項目、500点満点でチェック。その結果を星の数(0~3つ)で格付けし、クラブに助成金を出していたのです。

 要はリーグ戦で勝点を競い合うだけでなく、育成面でも優劣を争う仕組みを作っていたのがドイツでした。これに衝撃を受けた私はすぐさま『ダブルパス』社と契約し、彼らに当時のJ1、J2全クラブのいわば育成力を採点してもらいました。結果は……。良くなかったです。ドイツのクラブが100点満点だとすると、Jリーグのクラブは平均で60点くらいでした。

 でも私はその時、大喜びしました。まだやっていないことが40点分もあるんだと。それから7年の年月が経ち、育成面が際立つクラブも出てきています。Jリーグの発展・成長を語るうえで“ドイツからの学び”は決して見逃せません。

<プロフィール>
村井 満(むらい・みつる)/1959年8月2日生まれ、埼玉県出身。浦和高在学中はGKとして冬の選手権予選にも出場した。早稲田大卒業後、リクルートに入社。そこで執行役員を務めるなどして、14年1月31日、大東和美氏のあとを受けて第5代Jリーグチェアマンに就任し、現在に至る。

取材・構成●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

※本稿は、サッカーダイジェスト7月8日号に掲載された「J’sリーダー理論」の内容を転載したもの。

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