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【ポジション別検証|サイドバック編】室屋、菅原らが台頭の右SBとは対照的に、左の長友の後継者は?

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2021年06月05日

左とは対照的に選手層が厚くなってきた右サイドバック

“兄弟対決”で右サイドバックとしてフル出場した菅原。まずまずのパフォーマンスを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 人材難が叫ばれる左SBとは対照的に、右SBの方は徐々に選手層が厚くなってきたと言っていい。やはり約10年間、ハノーファーとマルセイユで走り続けてきた酒井宏樹(マルセイユ)の壁は高いものの、兄弟対決でA代表の右SBとして先発した室屋は攻守両面でグレードアップした印象を残したし、途中出場した山根視来(川崎)も無難にゲームを締めていた。

「ブンデス2部はJリーグほどの細かさがないというのは特に最初、難しく感じましたね。その分、ボールを持った時にひとりでどうにかしなきゃいけない。自分のためになるなと思ってやってました。それに周りに自分の意思を示すことの重要性も感じました」

 室屋は今回の代表合流に当たり、こう話していたが、心身両面で個の強さがなければ、欧州では戦えない。この事実を再認識したことは大きい。山根にはそうした感覚は未体験のゾーンではあるだろうが、湘南ベルマーレ時代に師事した曺貴裁監督(現京都)は世界基準を日々の練習から落とし込んいた指導者。室屋に通じる高度な意識を持ち合わせているはず。彼ら二人の目に見える成長は酒井にも危機感を与えるのではないか。

 一方、Uー24の菅原も”兄弟対決”には90分フル出場。前半こそA代表の原口元気(ハノーファー)や南野拓実(サウサンプトン)の仕掛けに困惑しがちだったが、強度と激しさに慣れた後半は守備面で冷静な対応を見せ、効果的な攻め上がりを見せる回数も増えた。

「酒井選手に打ち勝っていかないといけないのは今回のU-24メンバー発表の時点で感じてますし、僕のプレーを最大限発揮して食い込めるようにしないと。酒井選手から学ぶことも多くて勉強させてもらってるけど、負けないように強い気持ちは持ってます」

 こう語気を強める菅原は、今回の活動開始時点から酒井宏樹の一挙手一投足に目を凝らし、盗めるものはないかを探り、今回のパフォーマンスに生かそうとしていた。この貪欲さが伸び盛りの20歳の若武者には最も必要な部分。それを持ち合わせているという意味で今後に期待が持てそうだ。

 酒井が今夏以降、Jリーグに復帰することを考えると、さらに競争が激化するのは間違いない。8月末から始まる最終予選から1年半後のカタール本大会にかけては酒井が軸を担うだろうが、その後はどうなるか分からない。異なる選択肢が見えてきたのは、日本代表にとっても明るい材料と見ていい。
 
 ただ、6月シリーズはまだまだ中盤。4日には悪天候でU-24代表の博多移動が遅れ、急きょ札幌に残ってトレーニングをする羽目になった。が、こうしたアクシデントが起こりえるのがサッカーだ。それを乗り越え、タフに戦える選手だけが東京五輪、最終予選、カタールW杯に生き残れる。その地位をガッチリ掴むには、この先の一つひとつの試合をムダにはできない。

 まずは5日のU-24ガーナ戦(福岡)で、酒井宏樹、菅原、古賀らSB陣がどこまで世界を凌駕できるのか。それをしっかりと見極めるところから始めたいものだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
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