一方、大迫を招集できない場合は、代案として鎌田大地の招集を想定した。

　Ａ代表でも昨年10月のコートジボワール戦では、鈴木武蔵を１トップ、鎌田をトップ下に置き、大迫抜きの布陣を試したが、イメージはそれに近い。１トップの前田大然が背後を突いて相手ＤＦを引っ張り、２列目にスペースを空け、トップ下の鎌田、あるいは堂安、久保を縦パスの受け手にして攻める。

　大迫が入った形ほどは、ポゼッションが安定せず、ボールもスムーズに動かないかもしれない。しかし、前田は守備の鋭さが大きな持ち味なので、プレッシングとカウンター寄りにギアを変えた特徴は期待できる。その場合、夏場の暑さ対応が気にはなるが、今は５人交代も可能なので、アグレッシブに乗り切ることも不可能ではないだろう。

　また、もう一つの形として、プレッシング＋カウンター色を強めるなら、前田と林大地の２トップ、鎌田をサイドハーフへ移すことも考えられる。ただし、その場合に加えたい攻撃的なクロッサーの左ＳＢについて、頭一つ抜けた人材が乏しく、Ａ代表を含めても不足気味のポジションなので、正直、ここは頭を抱える。
 

　だったら無理に当てはめるよりも、久保や相馬、堂安や三好康児など、２列目の優秀なアタッカーを素直に起用したい。そのため、最終的には１トップに前田、トップ下に鎌田の形にした。

　また、大迫あり、大迫なし、どちらの布陣でも、ベンチには戦術理解度が高いユーティリティな選手と、思い切りのいいスペシャルな選手の両方を揃えたいところ。前者は中山雄太、旗手怜央、三好康児、町田浩樹ら、後者は相馬勇紀らが候補になる。

　元々、五輪は登録メンバー18人の縛りがあるため、少人数で全ポジションをカバーしなければならず、ユーティリティな選手の価値が高まる大会だった。

　それに加えて東京五輪は、５人交代の特別ルールもある。試合の流れを読み、起用されたポジションで的確にプレーできる選手。逆に、両チームが２～３人をバンバン代えて局面が混沌とする中で、思い切り良く、試合にインパクトを与えて流れを引き寄せる選手。どちらも欲しい。できれば途中出場に慣れた選手が良いが、その意味でも相馬には期待している。

文●清水英斗（サッカーライター）

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