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「ガンバは本物のアタッカーを手に入れた」デビュー間近のG大阪ウェリントン・シルバってどんな選手? なぜアーセナルで“出場ゼロ”だったのか【ブラジル発】

カテゴリ:Jリーグ

リカルド・セティオン

2021年04月25日

なぜ実力十分のアタッカーを“格安”で獲得できたのか?

 不本意な形で戻ってきたブラジルで、彼は再起した。フルミネンセではロナウジーニョと組んでプレーすることも多かった。2017年には目にした者は誰もが忘れないような素晴らしいゴールを決めている。シュート自体も素晴らしかったが、何よりも目引いたのはその前の10メートルのドリブルだ。1.59秒という驚異的なスピードで駆け抜けたのだ。

 スペイン、イングランド、ブラジルで経験を積むうちに彼のテクニックは磨かれた。最大の武器はスピード、そして何よりも両足を自在に使えることだ。左右両サイドのアタッカーを務めることができ、CFとしてもプレーできる。つまり、攻撃のオールマイティーカードなのだ。フィジカルも強く、年齢的にもまだまだハイレベルなプレーを続けることができるだろう。ガンバは本当に良い選手に目を付けた。
 
 しかも、お買い得だった。フルミネンセは深刻な財政難に喘いでおり、選手への給料の支払いも滞りがちだ。内部の人間から聞いた話によると、ウェリントンへの給与も遅れ、活躍によって支払われるボーナスや肖像権の使用料も一切受け取っていなかったようだ。

 フルミネンセはこの“借り”をチャラにするため、日本に行きたい彼のために移籍金を大きく下げた。そのため、ガンバは“格安”で獲得できたのだ。

 ウェリントンの現在の評価額は、アーセナルが支払った400万ユーロの35%にも満たないと言われている。だからといって、優秀でないということではない。これまで彼を指導したことのある監督は口をそろえて、そのユーティリティ性の高さを称えている。インテルナシオナウ(2018年に1シーズンだけレンタルでプレー)のヘルマン監督に至っては、彼を「金のリザーブ」と呼んでいた。

 もしウェリントンが日本のサッカーにいち早く馴染むことができれば、きっとガンバのために多くのゴールを決めてくれることだろう。彼は、自らの実力を知らしめる最後のチャンスと燃えて、日本にやって来たはずだ。やる気に満ち、ユーティリティの高い選手を獲得できた宮本恒靖監督は幸運である。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 
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