J1で感じたセンターバックの圧倒的なフィジカル。真っ向勝負ではなく…
昨シーズンはリーグ戦9得点・10アシストと、ゴールに直結する印象的なプレーの数々で観る者を魅了した。よりゴールという結果が求められるポジションで、江坂はバイタルエリアをどう捉えているのか。「本能的にプレーしていた」というプロ入り前から、より緻密さを追求するようになったというプロ入り後の変化について語ってくれた。
――◆――◆――
バイタルエリアは、自分にとっての生命線であるというか、僕が輝くために必要な場所です。攻撃側の自分にとっては、そこをいかにうまく取れるか、相手にとってはいかに取らせないか。勝負の明暗が分かれる場所ですよね。
ただ、プロに入る前は、とにかく「プロになるために結果を残したい」という気持ちが強かったので、あまりそういうことを意識していなかったかもしれません。バイタルエリアの使い方などを考えるより、もっと本能的にやっていたように思います。
自分がボールを受けたいところや、プレーしやすいところでボールをもらってゴールに向かう、という感じで、このスペースが空くからここに入り込んで、みたいなことを意図してプレーするよりも「ボールに触りたい、ここで受けたい、点を取りたい」という本能的な部分でサッカーをしていた気がします。
それがプロに入って、対峙する相手のクオリティが上がり、身体の大きさも全然違ってきて、自分は真っ向勝負で勝てるような身体でもないので、スペースの使い方など、より意図した動きで崩すことを考えるようになりましたね。
そうした面でプロ入り後に大きな影響を受けた指導者と言えば、いまヴァンフォーレ甲府の指揮を執っている伊藤彰監督で、大宮アルディージャ時代(※伊藤氏が16年にコーチ、17年に監督だった)に一緒にやっていた時に、スペースの使い方、空け方などは、かなり影響を受けました。自分がボールを受けなくても、味方を活かすスペースの空け方に関してはかなり指導されて、そこでスペースの使い方が変わりましたね。
さっきも言ったように、プロは身体の大きさが違うし、特にJ1に行ってから感じたのですが、またセンターバックのフィジカルの強さが極端に違うんです。だから、本当に真っ向勝負では勝てないので、そこは1対1でDFが来られないポジショニングというか、相手DFと身体で勝負しないところのポジションは意識するようになりました。
そこで意識するようになったのが、「相手の矢印」です。これも彰さんにかなり指導された部分で、大きなCBにガツンと来られるとやはりパワーで負けてしまうので、その力を上手く逃がす、利用するということ。自分に相手の矢印が向いたら、その矢印が来たところにスペースが空くからそこをいかにうまく使うか。その意識は常に持つようになりましたね。
ただし、球際などではフィジカル勝負で負けてはいけない部分も出てきます。攻撃ではうまく剥がせればいいですが、守備面では強くいかないといけないし、仮にボールを奪い切れなくても味方のほうに誘導できるような身体の使い方は意識していますね。
バイタルエリアでの守備に関して言うと、監督から与えられた戦術があるので自分本位だけでボールを追うことはできませんが、その中で一番やられたくない場所を考えながら守らないといけない。やはり一度バイタルの中へ効果的なパスを入れさせてしまうと、誰かがそこへ付いていくことになって、その付いていった味方のところのスペースが空くという、ギャップが生まれてしまう。そういう状況を作らない守備が必要ですね。
ネルシーニョ監督には、「守るための守備ではなく、攻撃するための守備なんだ」とよく言われます。守備をしながら攻撃を考えろと。ボールを奪った後に、どうボールを運んで相手のバイタルを突いていくか。攻守の切り替えの意識も、さらにプロで磨かれましたね。
※後編に続く(次回は4月23日に公開予定です)
取材・構成●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
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バイタルエリアは、自分にとっての生命線であるというか、僕が輝くために必要な場所です。攻撃側の自分にとっては、そこをいかにうまく取れるか、相手にとってはいかに取らせないか。勝負の明暗が分かれる場所ですよね。
ただ、プロに入る前は、とにかく「プロになるために結果を残したい」という気持ちが強かったので、あまりそういうことを意識していなかったかもしれません。バイタルエリアの使い方などを考えるより、もっと本能的にやっていたように思います。
自分がボールを受けたいところや、プレーしやすいところでボールをもらってゴールに向かう、という感じで、このスペースが空くからここに入り込んで、みたいなことを意図してプレーするよりも「ボールに触りたい、ここで受けたい、点を取りたい」という本能的な部分でサッカーをしていた気がします。
それがプロに入って、対峙する相手のクオリティが上がり、身体の大きさも全然違ってきて、自分は真っ向勝負で勝てるような身体でもないので、スペースの使い方など、より意図した動きで崩すことを考えるようになりましたね。
そうした面でプロ入り後に大きな影響を受けた指導者と言えば、いまヴァンフォーレ甲府の指揮を執っている伊藤彰監督で、大宮アルディージャ時代(※伊藤氏が16年にコーチ、17年に監督だった)に一緒にやっていた時に、スペースの使い方、空け方などは、かなり影響を受けました。自分がボールを受けなくても、味方を活かすスペースの空け方に関してはかなり指導されて、そこでスペースの使い方が変わりましたね。
さっきも言ったように、プロは身体の大きさが違うし、特にJ1に行ってから感じたのですが、またセンターバックのフィジカルの強さが極端に違うんです。だから、本当に真っ向勝負では勝てないので、そこは1対1でDFが来られないポジショニングというか、相手DFと身体で勝負しないところのポジションは意識するようになりました。
そこで意識するようになったのが、「相手の矢印」です。これも彰さんにかなり指導された部分で、大きなCBにガツンと来られるとやはりパワーで負けてしまうので、その力を上手く逃がす、利用するということ。自分に相手の矢印が向いたら、その矢印が来たところにスペースが空くからそこをいかにうまく使うか。その意識は常に持つようになりましたね。
ただし、球際などではフィジカル勝負で負けてはいけない部分も出てきます。攻撃ではうまく剥がせればいいですが、守備面では強くいかないといけないし、仮にボールを奪い切れなくても味方のほうに誘導できるような身体の使い方は意識していますね。
バイタルエリアでの守備に関して言うと、監督から与えられた戦術があるので自分本位だけでボールを追うことはできませんが、その中で一番やられたくない場所を考えながら守らないといけない。やはり一度バイタルの中へ効果的なパスを入れさせてしまうと、誰かがそこへ付いていくことになって、その付いていった味方のところのスペースが空くという、ギャップが生まれてしまう。そういう状況を作らない守備が必要ですね。
ネルシーニョ監督には、「守るための守備ではなく、攻撃するための守備なんだ」とよく言われます。守備をしながら攻撃を考えろと。ボールを奪った後に、どうボールを運んで相手のバイタルを突いていくか。攻守の切り替えの意識も、さらにプロで磨かれましたね。
※後編に続く(次回は4月23日に公開予定です)
取材・構成●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)