――憲剛さんの目から見て、三笘選手は今年も活躍しそうですか？

中村　彼の場合は、去年マグレで活躍したわけじゃないですからね。個人的な能力があるうえで、正しい状況判断をできる。ドリブルが武器だけど、姿勢が良く目線も上がっているのでパスも出せる。どう対策されても周りとの関係性で上手くプレーできるんじゃないかなと。それに薫がマークされれば、他が空く。性格も真面目でストイック。言うなれば、薫をどう止めるかが、他チームのポイントになるかもしれないですね。

佐藤　ナラさんの注目選手は？

楢﨑　俺はやっぱりキーパー。そのなかでは……権田（修一）。

中村　開幕戦のエヴェラウドのヘッドを止めたセーブは痺れましたよね。

楢﨑　（清水へ）移籍して最初にどんなインパクトを残すかは大事だよね。フィットできた感覚を持てるかで、今後のプレーが大きく変わってくる。しかも鹿島に勝ったし、良いスタートが切れたんじゃないかな。代表にも絡んでいかないといけないからね。色んな目線から気になっているかな。

中村　権ちゃん喜ぶだろうな。

佐藤　ナラさんに言われたらね。

楢﨑　あとは若い選手も去年から増えている。コンスタントに活躍できているかと言われれば、まだなのかもしれないけど、楽しみだね。

佐藤　五輪世代でいうと誰ですかね？

楢﨑　広島の大迫（敬介）くん、ベルマーレの谷（晃生）くん、鹿島の沖（悠哉）くんあたりがそうだよね。彼らは良い意味で“おっさん”みたいで俺は好きだよ。

佐藤　落ち着いているということですね（笑）。

楢﨑　なんだかんだ言って、他のポジションもそうかもしれないけど、基本の“き”ができていないといけない。１試合で大きな活躍をするのも良いことだとは思うけど、本当の評価ってそこじゃないじゃん。やっぱりどれだけ続けられるかだから。

中村　ナラさんが言うと、言葉に重みがありますね。

楢﨑　どの選手にも言えることだと思うんだけどね。でもベルマーレの谷くんは比較的、攻められる時間が短くないように見えるから、成長できている部分もあるだろうし、キーパーは１枠しかないから色々難しい。

――では憲剛さんと寿人さんも、ストライカーやパサーで、これから伸びそうと感じる選手はいますか？

佐藤　鹿島の上田くんもそうですが、先ほども話したようにＪ２からＪ１へ上がった選手としては徳島の垣田（裕暉）くん。鹿島からのレンタルで去年、徳島で活躍して得点の形を習得したイメージがありますよね（今季もレンタルを延長）。サイズもあって、追ってみたい選手です。

――憲剛さんはどうでしょう？

中村　最近、総合力の高い選手は増えていますが、『え!?　そこにパス出すの？』という驚きを感じさせてくれる選手は減ってきているように感じるんです。そういう意味では鹿島の荒木（遼太郎）くんは、“昔っぽい”というか、彼の目、アイデアは異質なところがあるのかなと。今後、どう成長するのか興味深いです。うーん、でもリンクマンはいるんですが、ラストパスに特化した選手はやっぱり減っているかな。それこそ昔のフタ（二川孝広）みたいなね。

佐藤　それはあるかもしれないですね。アシストを量産できる選手が。

中村　でもそれが現代サッカーの流れなのかもしれない。フィジカルとスピードが重視され、スペースと時間が限られるなかで、パサーが淘汰されてきているのはありますから。でも、どの時代でもゴールをお膳立てする選手も必要。もっと見てみたい気はするよね。

佐藤　清水の鈴木唯人くんはどうですか？

中村　彼はドリブラーの印象が強いよね。でも推進力があって、ロティーナ監督がどう成長させるか楽しみ。

佐藤　良い選手ですよね。

中村　いや本当に若くて力のある選手は多い。どんどんアピールしてもらいたいよね。