昨年、Jリーグではブラジル選手の不祥事が続いた。悪いことは悪い。法律を犯せば罰せられる。

　ただCQを働かせれば、そうした行為と彼らの実力とは別物だと理解できるはずだ。

　ガンバ大阪で活躍したアデミウソン、新潟のファビオが酒気帯び運転で解雇となった。

　アデミウソンにいたっては、新しい契約を結び直したばかりだったと聞く。ということはプレーヤーとしての力は衰えていない。使える選手だとガンバ大阪は評価していた選手ということだ。

　サッカー文化、サッカーCQの高い国であれば、いくつかのクラブが彼の獲得に手を挙げるであろう。彼ら選手の犯した罪が悪いのは当然であり、肯定できる材料はない。

　しかし、プレーヤーとして必要なクラブはこの日本にも少なからずあったはずだ。それでも日本でプレーする道は今のところないようだ……。

　柏木の例もそうだ。浦和レッズで規律違反を犯した。浦和の判断は監督もマネジメントも当然の事だ。何も疑うものはない。ただJ１の浦和で必要とされていた選手が、日本でプレーできるのがJ３のクラブ１つだけだったとしたら、これは残念なリーグでもある。

　もちろんイメージが悪いし、株主やスポンサーがネガティブになるのもよく分かるのだが、一方で相手の耳を噛んでしまったスアレスには、バルサはどれだけのお金を用意したか？　バルサで戦力外となり、イメージが落ちても次のクラブが争奪戦だ。今、アトレティコ・マドリーでどれだけ活躍をしているか。

　ネイマールを見ても分かる。2019年ブラジル国内で自らのスキャンダルにより騒動を巻き起こしてしまったネイマールも、昨年プーマと契約。現役時代に僕がお世話になったスポーツメーカーのメインキャラクターをやっているのだ。

　きっとこれから、クリスチアーノ・ロナウドやメッシなどがフリーになれば、その経緯や理由はどうであれ、他のクラブは実力を見て契約に動くかどうかを決めるであろう。サッカーCQの高い国であれば、ひとつのクラブとの契約を終えた事実だけで、選手の価値を決めたりはしないだろう。

　それが文化的知性の違い、CQの違いなのだ。

　しかし、前述の罪を犯したブラジル人Jリーガーたちは、僕がマネジメント側であっても同じ判断をしたであろう。ただその選手を次、獲得するのは中国かアラブ、そして忘れた頃に日本が手を挙げる。

　ひとたび問題を起こせば、サッカー選手としての価値すら下がってしまう。それが日本のCQの低さ、文化的知性の低さなのであろう。