「ダイナミックなオーバーラップ」には憧れも
守備の局面でも同様です。1番はボールを奪う事。そのなかで、状況に応じてボールへのアプローチの仕方を考えます。縦パス、間を通されるパスに対して、スペースをどう消すのか。ポジショニングの修正やスライドして陣形をコンパクトに保つこと、ボールが入った後にプレスバックで挟むとか。特に、ボールにアプローチした選手が迷いなくプレーできるような状況を作るにはどうするか。立ち位置であったり、ボールひと転がりに対して、どうポジションを変えるか。それぐらいの意識というのは選手には伝えていますね。
あとは、ボールから遠いサイドの選手が一番早く反応できるように、というのはいつも言っています。どうしてもボールから離れていると意識が薄くなってしまうので、そのあたりもチームのディフェンスとしてのまとまりになります。
もちろん“個”で守らなければいけないし、“個”でボールを奪わなければならないのですが、チャレンジが正確にできるように、ポジション、声、コーチングは重要です。『ボール行っていいぞ』というひと声があるだけで、守備の仕方も大きく変わるものです。
ただ今は、ポジションごとの役割も僕らの時代と随分変わってきています。僕が務めていたサイドバック(SB)にしても、中央にポジションを取ることはほとんどありませんでしたが、今は意図的に中盤に入って、代わりにハーフの選手が外のポジションに開いてと、役割が大きく変わってきているなと感じます。
あとは、ボールから遠いサイドの選手が一番早く反応できるように、というのはいつも言っています。どうしてもボールから離れていると意識が薄くなってしまうので、そのあたりもチームのディフェンスとしてのまとまりになります。
もちろん“個”で守らなければいけないし、“個”でボールを奪わなければならないのですが、チャレンジが正確にできるように、ポジション、声、コーチングは重要です。『ボール行っていいぞ』というひと声があるだけで、守備の仕方も大きく変わるものです。
ただ今は、ポジションごとの役割も僕らの時代と随分変わってきています。僕が務めていたサイドバック(SB)にしても、中央にポジションを取ることはほとんどありませんでしたが、今は意図的に中盤に入って、代わりにハーフの選手が外のポジションに開いてと、役割が大きく変わってきているなと感じます。

思い出に残るゴールを聞くと、2007年の広島戦で決めたミドルシュートを挙げた。左サイドで崩し、右サイドから仕留めるという当時目指していた形が結実した得点だったという。(C)S-PULSE

トップチームに上がるだけでなく、活躍できる選手を育てていきたいと語った。今後、市川氏と同様に、ユースからトップチーム、そして日本代表まで駆け抜ける選手を輩出できるか。(C)S-PULSE
チームのサッカースタイルにもよると思いますが、サイドを駆け上がるシーンもだいぶ減ってきていて、「ダイナミックなオーバーラップ」というような表現もあまり目にしなくなりました。
僕らの時代では、ブラジル代表のカフーとか。どれだけ体力があるんだというような、無尽蔵のスタミナがあって、憧れを持っていましたね。
今はSBでも得点力が必要になってきましたよね。求められることも多くなってきた。攻撃や、ビルドアップのスタートとしての役割とか。ゲームメイクもできて、1対1の強さやスピードも要求されるうえに、試合を作るようなインテリジェンスも重要視されてきている。GKに求められるものもそうですよね。僕らがジュニアの頃はバックパスもまだ手で取って良かったので隔世の感があります。
いろんなところで駆け引きが必要になり、自分の頃と比べると、技術的にも非常に高く、いろんなことを知っていると感じる部分もあります。ただ一方で、例えば主張することや、主体性を持つということ、自分はこうなりたい、こうしたいからという部分が弱いようにも感じています。
これからの指導者は、“個”の特長、スペシャリティをプレー面でも精神面でも強く育てていかなければいけないのかなと実感しています。
――◆――◆――
インタビューは2月初旬に行なわれた。清水エスパルスのU-15で指揮を執る市川氏は、トップチームの大型補強に「練習自体をまだ見れていない」としながらも、ロティーナ新監督には興味津々で「どのようなサッカーをしていくのか。攻撃のビルドアップの仕方や守備の仕方というのはしっかりと見て、育成年代に取り入れられるものを吸収しながら、トップとの繋がりも考えていきたい」と語る。
自身と同じように生え抜きが活躍する土壌が清水にはある。コロナ禍で昨年は育成年代のスペイン遠征が取りやめになったものの、海外で活躍するOBの岡崎慎司(ウエスカ)や北川航也(ラピド・ウィーン)とオンラインでの交流会の機会があったという。そこで北川は海外で活躍する秘訣を聞かれ、「エスパルスでやってきたことが全てだと思います」と答えたそうだ。
「そういう想いを持ってプレーしてくれているというのはすごく嬉しいですよね。エスパルスのエンブレムをつけて日本平のピッチで自分のプレーを表現できるような選手を、より多く輩出していきたい」
市川氏は育成現場での戦いに、そう闘志を燃やしている。
※このシリーズ了
取材・構成●渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)
僕らの時代では、ブラジル代表のカフーとか。どれだけ体力があるんだというような、無尽蔵のスタミナがあって、憧れを持っていましたね。
今はSBでも得点力が必要になってきましたよね。求められることも多くなってきた。攻撃や、ビルドアップのスタートとしての役割とか。ゲームメイクもできて、1対1の強さやスピードも要求されるうえに、試合を作るようなインテリジェンスも重要視されてきている。GKに求められるものもそうですよね。僕らがジュニアの頃はバックパスもまだ手で取って良かったので隔世の感があります。
いろんなところで駆け引きが必要になり、自分の頃と比べると、技術的にも非常に高く、いろんなことを知っていると感じる部分もあります。ただ一方で、例えば主張することや、主体性を持つということ、自分はこうなりたい、こうしたいからという部分が弱いようにも感じています。
これからの指導者は、“個”の特長、スペシャリティをプレー面でも精神面でも強く育てていかなければいけないのかなと実感しています。
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インタビューは2月初旬に行なわれた。清水エスパルスのU-15で指揮を執る市川氏は、トップチームの大型補強に「練習自体をまだ見れていない」としながらも、ロティーナ新監督には興味津々で「どのようなサッカーをしていくのか。攻撃のビルドアップの仕方や守備の仕方というのはしっかりと見て、育成年代に取り入れられるものを吸収しながら、トップとの繋がりも考えていきたい」と語る。
自身と同じように生え抜きが活躍する土壌が清水にはある。コロナ禍で昨年は育成年代のスペイン遠征が取りやめになったものの、海外で活躍するOBの岡崎慎司(ウエスカ)や北川航也(ラピド・ウィーン)とオンラインでの交流会の機会があったという。そこで北川は海外で活躍する秘訣を聞かれ、「エスパルスでやってきたことが全てだと思います」と答えたそうだ。
「そういう想いを持ってプレーしてくれているというのはすごく嬉しいですよね。エスパルスのエンブレムをつけて日本平のピッチで自分のプレーを表現できるような選手を、より多く輩出していきたい」
市川氏は育成現場での戦いに、そう闘志を燃やしている。
※このシリーズ了
取材・構成●渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)