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加速する若手の海外移籍――現役Jクラブ指揮官の見解は? コロナ禍で重要性増す移籍金に、戦力のマネジメント…

カテゴリ:Jリーグ

元川悦子

2021年02月08日

サッカー選手も終身雇用から個人事業主の時代へ!?

FC東京を率いて4年目を迎える長谷川監督。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

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 実際、2020年夏に橋本拳人(ロストフ)と室屋成(ハノーファー)の海外移籍を容認したFC東京は数億円の移籍金を得て、赤字幅を多少なりとも圧縮できたという。新戦力を獲得するまでの余裕は持てなかったようだが、クラブ経営の健全化に寄与できたのであれば、出ていったふたりも肩の荷を下ろせるのではないか。

 現場の長谷川健太監督は穴埋めに苦労したわけだが、かつて世界を目指した元日本代表経験者という点もあり、橋本、室屋らの心情には一定の理解を示している。

「今の若い選手は僕らとは見ている景色が全然違いますよね。自分たちの現役時代は会社もそうですけど、最後定年するまで働き続けるのが美徳という考えが強かったですけど、今は『個人事業主』という感じになってきた。自分で価値を上げ、キャリアアップを考えていくのも当たり前。出ていくのは仕方ないことだと思います。そういうなか、我々現場は既存選手の力を最大限引き出し、結果を出すことを考えるしかないんです」

 そういった割り切りの結果、長谷川監督はシーズン途中に森重真人のアンカー起用に踏み切り、中村帆高、中村拓海といった若手右サイドバックのテコ入れを図った。こうした成果が1月4日のルヴァンカップ優勝という形で現われた。指揮官にしてみれば、シーズン中に想定外の事態やアクシデントが起きても結果を求められるのは一緒。より難しいマネージメントを求められる時代になったと言っても過言ではないだろう。

 昨季二冠の川崎フロンターレにしても、ザーゴ監督2年目の鹿島アントラーズにしても、日本代表候補の若手がズラリと並ぶ。そういうクラブほど海外移籍予備軍が数多くいるということだ。そこで「次の次を考えたチーム作り」をしなければ、常勝軍団の地位は保てない。鹿島の名GMである鈴木満常務取締役も「この移籍サイクルの速さに対応するのは本当に大変。我々ができるのはしっかりと移籍金を取り、次の戦力を確保し、さらなる若手を育成することしかない」と神妙な面持ちで語っていたことがあった。

 監督を中心にクラブが一丸となってチームの底上げを進めていくこと。Jクラブにとっては、それ抜きに海外移籍が加速する今の時代を生き抜く術はないのかもしれない。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
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