「ヴィッセル以外には行きたくない」と語った理由
11月の半ば、リンコンが酒を飲んでパーティーで騒いでいる動画を元チームメイトがSNSにアップしてしまい、ペナルティとしてベンチからも外されるようになった。これにも代理人が噛みつき、両者の関係は完全に決裂した。フラメンゴは彼が20歳になる前ぎりぎりに(12月16日が誕生日)トップチームから除名し、U-20チームに落とす。3年間トップチームにいた選手にとっては屈辱の他なかったろう。
リンコンはU-20の初日の練習に行かず、その翌日には普通の顔をしてトップチームの練習に行ったが、そこに彼の名前のロッカーはもうなかった。
こうして、選手、チーム、代理人、誰もが移籍を望むようになった。リンコン自身は飼い殺しにされているようなものだから別のチームに行ってプレーしたい。フラメンゴは早くリンコン(とその代理人)を厄介払いしたい、代理人は選手がチームを移ればマージンが入るので、移籍は大歓迎だ。
行先の候補としては、パフォスがまず手をあげ、フラメンゴはこれに乗り気だったが、無名のキプロス・リーグには行きたくないとリンコンがごねてご破算となった。その後ヴィッセル神戸からオファーが来て移籍は決まりかけていたが、MLSのシンシナティが完全移籍の条件でそれより高い金額をつけてきた。チームは売却を望んでいたし、代理人は移籍金が高ければ高いほど嬉しい。
しかしここでリンコン自身が待ったをかけた。「ヴィッセル以外には行きたくない」と言って来たのだ。その理由はアンドレス・イニエスタだ。
リンコンはU-20の初日の練習に行かず、その翌日には普通の顔をしてトップチームの練習に行ったが、そこに彼の名前のロッカーはもうなかった。
こうして、選手、チーム、代理人、誰もが移籍を望むようになった。リンコン自身は飼い殺しにされているようなものだから別のチームに行ってプレーしたい。フラメンゴは早くリンコン(とその代理人)を厄介払いしたい、代理人は選手がチームを移ればマージンが入るので、移籍は大歓迎だ。
行先の候補としては、パフォスがまず手をあげ、フラメンゴはこれに乗り気だったが、無名のキプロス・リーグには行きたくないとリンコンがごねてご破算となった。その後ヴィッセル神戸からオファーが来て移籍は決まりかけていたが、MLSのシンシナティが完全移籍の条件でそれより高い金額をつけてきた。チームは売却を望んでいたし、代理人は移籍金が高ければ高いほど嬉しい。
しかしここでリンコン自身が待ったをかけた。「ヴィッセル以外には行きたくない」と言って来たのだ。その理由はアンドレス・イニエスタだ。
フラメンゴの現在の監督はかつてのサントスの名GKロジェリオ・セニだが、2020年の7月31日から11月9日まではドメネク・トレントが務めていた。トレントが監督の間は、リンコンもほとんどの試合でベンチ入りをし、途中出場でプレーする機会も多かった。指揮官との関係が良好だったのは間違いない。
トレントは、スペインのカタルーニャ出身で、2008年から2012年まではバルセロナでジョゼップ・グアルディオラのテクニカルアナリストを務めていたこともあり、イニエスタとはかなり仲がいい。彼がスペインの名手のことをリンコンに語ったとしても不思議ではないだろう。
いずれにしても、リンコンは神戸でイニエスタと一緒にプレーをするというアイデアにかなり惹かれたようだ。神戸が約束してくれた背番号10をつけて世界的プレーヤーとプレーすることになるのだ。
彼の父親も『グローボTV』のインタビューでこう語っていた。
「イニエスタのそばでプレーすることは、他では得られない貴重な経験だ」
そこで代理人はヴィッセルにオファーを釣り上げるように、そしてレンタルではなく完全移籍にするように水を向けた。そうでないとアメリカに売ってしまうと。しかし神戸が値をあげるとシンシナティもあげてくる(ブラジルのクラブのやり方をよく知る者としては、本当にシンシナティが値段を釣り上げたかは疑問が残るが)。
2日間、ヴィッセルとシンシナティの間でリンコンのオークションが繰り広げられ、結局ヴィッセルは300万ドル(約3億円)を支払って、リンコンを完全に買い取ることにした(リンコンがACLに出場権を獲得した場合にフラメンゴにボーナスが渡されることも契約に入っている)。
これには驚きだ。それは私の周りの記者も同じだ。ブラジルにはセリエA(1部)、B(2部)合わせて1000人近くの選手がいる。トップチームでコンスタントに良いプレーをしていて、彼よりずっと安い選手は山ほどいる。
300万ドルはトップチームでプレーもしていない選手につける値段ではない。プレーしていないのは代理人のせいもあるかもしれないが、もし彼が本当の逸材ならば、フラメンゴはいくら代理人が厄介でも使っているはずである。つまり彼らはリンコンをその程度の選手としか見ていないのだ。
その証拠に、かつての契約時に決めた5000万ドルの違約金の話は、今回は全く出てこない。そんな大金を払ってまで、彼を欲しがるチームがあるとはもう思っていないのだ。ブラジルのスポーツ紙『ランス!』は「リンコンが至宝から、違約金の5%に満たない選手になるまで」と銘打って彼のこれまでのストーリーを綴っている。
トレントは、スペインのカタルーニャ出身で、2008年から2012年まではバルセロナでジョゼップ・グアルディオラのテクニカルアナリストを務めていたこともあり、イニエスタとはかなり仲がいい。彼がスペインの名手のことをリンコンに語ったとしても不思議ではないだろう。
いずれにしても、リンコンは神戸でイニエスタと一緒にプレーをするというアイデアにかなり惹かれたようだ。神戸が約束してくれた背番号10をつけて世界的プレーヤーとプレーすることになるのだ。
彼の父親も『グローボTV』のインタビューでこう語っていた。
「イニエスタのそばでプレーすることは、他では得られない貴重な経験だ」
そこで代理人はヴィッセルにオファーを釣り上げるように、そしてレンタルではなく完全移籍にするように水を向けた。そうでないとアメリカに売ってしまうと。しかし神戸が値をあげるとシンシナティもあげてくる(ブラジルのクラブのやり方をよく知る者としては、本当にシンシナティが値段を釣り上げたかは疑問が残るが)。
2日間、ヴィッセルとシンシナティの間でリンコンのオークションが繰り広げられ、結局ヴィッセルは300万ドル(約3億円)を支払って、リンコンを完全に買い取ることにした(リンコンがACLに出場権を獲得した場合にフラメンゴにボーナスが渡されることも契約に入っている)。
これには驚きだ。それは私の周りの記者も同じだ。ブラジルにはセリエA(1部)、B(2部)合わせて1000人近くの選手がいる。トップチームでコンスタントに良いプレーをしていて、彼よりずっと安い選手は山ほどいる。
300万ドルはトップチームでプレーもしていない選手につける値段ではない。プレーしていないのは代理人のせいもあるかもしれないが、もし彼が本当の逸材ならば、フラメンゴはいくら代理人が厄介でも使っているはずである。つまり彼らはリンコンをその程度の選手としか見ていないのだ。
その証拠に、かつての契約時に決めた5000万ドルの違約金の話は、今回は全く出てこない。そんな大金を払ってまで、彼を欲しがるチームがあるとはもう思っていないのだ。ブラジルのスポーツ紙『ランス!』は「リンコンが至宝から、違約金の5%に満たない選手になるまで」と銘打って彼のこれまでのストーリーを綴っている。