青森山田を抑えるためには山梨学院に多くのタスクが課されるが、逆に言えば、やるべきことが多いのが青森山田の強さを証明している。長谷川監督が言う「何を捨てて、何を捨てないか」の選択を曖昧にしてしまうと、多くのエラーが出てしまう。山梨学院はこのエラーをいかに出さないか、出たとしても冷静に対応できるかが勝負の分かれ道になる。

　個人的には青森山田の安斎と、山梨学院の柱であるGK熊倉匠（３年）とチームナンバーワンの技巧派MF笹沼航紀（３年）のFC東京U-15深川のチームメイト対決にも注目したい。彼らは中3の時、高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会決勝で、サガン鳥栖U-15にPK戦の末に敗れて日本一を逃している。熊倉は１番を背負ってフル出場。背番号7の笹沼は２トップの一角、安斎は10番を背負い、右サイドハーフでプレーした。彼らが日本一をかけて戦うのは非常に楽しみだ。笹沼は今大会途中出場がメインとなっているが、精度の高い左足が決勝の舞台で炸裂をするのか。ここも注目をしておきたい。

　さあ、今年度のラストゲーム。無事に決勝まで開催できることに心から感謝しながら、両者の熱い戦いを楽しみにしたい。

文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）

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