この試合巧者ぶりと勝負強さこそ、青森山田の強さだが、勝負強さと言えば矢板中央も負けていない。小出勇翔（２年）、新倉礼偉（３年）、島﨑勝也（２年）、坂本龍汰（３年）の１対１とエアバトルに強い4バックに加え、最後尾にはこれまで何度もビッグセーブを見せ、クロスへの対応も抜群の今大会ナンバーワンGK藤井陽登（２年）がいる。

　昨年からゴールマウスを守る藤井の存在はとてつもなく大きい。セービングやキャッチングだけでなく、「昨年を経験してコーチングの重要性も学んだ。僕が最終ラインをコントロールしてシュートコースを限定すれば、失点のリスクは減る」と語ったように、全体を冷静に見てフィジカルレベルの高い４バック、大畑凛生（２年）と升田大誠（３年）のダブルボランチを的確なコーチングで巧みに動かしていく。

　２ラインの強固なブロック、今大会最高のGKによる堅守をベースに繰り出すカウンターもチームのストロングポイント。絶対的エースの多田圭佑（３年）と186cmのハイタワー・林廉斗（２年）の強烈な２トップが、高さと強さ、スピードを駆使して一気に攻め切る。この２トップと青森山田のCBコンビのマッチアップはかなりのバトルになるだろう。

　本命候補が2年連続で勝ち上がるのか、それとも４度目の正直で新たなファイナリストの誕生となるのか。意地と意地がぶつかり合う激しい消耗戦が予想される。

文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）

【準々決勝PHOTO】矢板中央、２ゴール＆完封で富山一に快勝！！２年連続のベスト４進出！