佐藤寿人が千葉に残したもの――。ラストゲームで見せた一体感で「J1の舞台に…」

カテゴリ:Jリーグ

加茂郁実

2020年12月22日

「誰よりもジェフを愛する兄が…」

古巣をJ1昇格に導けなくて謝罪もした佐藤。その志は多くの選手たちに引き継がれたことだろう。写真:滝川敏之

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 そしてこの2年間、ほぼ、休むことなく、練習に取り組んだ。その姿勢はチームメイトも称賛する。「あれだけ結果を残してきた寿人さんが、まだ成長しようとトレーニングに取り組んでいる姿を見たら、自分もやらなければいけないと思う」(岡野洵)と、感じた選手は一人や二人ではないし、その努力はサポーターも感じている。だからこそ、選手がついていくし、必死の寿人のプレーをみんなが応援する。

 最終戦では、84分にピッチに登場。拍手が鳴りやまないなか、いつものように左手でそっとピッチを触って入る。その直前には鳥海晃司から下平匠を経由し、キャプテンマークが渡される。「最後は寿人さんにつけてもらいたかった」という、アカデミーの後輩からの熱い思いだった。

 また、53分に髙橋壱晟が逆転ゴールを決めると、コーナーフラッグに一直線に走り、佐藤寿人の象徴ともいえる、ゴールパフォーマンスで寿人を称えた。

 得点者の髙橋は「今日は、絶対に勝って、引退する選手たちを送り出そうという思いだった」と語るように、選手、スタッフ、そしてサポーターに愛される存在だった。
 
 シーズンのラストゲームを勝利、しかも今季二度目の逆転劇で飾ることができたのは、最後の最後でようやくチームに一体感が生まれたから。この試合、選手たちは実に伸び伸びと自由にプレーし、力を発揮した。そこには、寿人をはじめ、増嶋竜也、田坂祐介を勝利で送り出そうというチームメイトの思いが見えた。この一体感と、寿人が残したものを引き継いで、千葉は新たな一歩を踏み出す。

「今はクラブが難しいサイクルの中にいると思いますが、誰よりもジェフを愛する兄が必ずファン・サポーターの皆さまをJ1の舞台に導いてくれると思います」

 J1昇格の目標は千葉のクラブユナイテッドオフィサーである兄の勇人、そして後輩たちに託す――。
  
取材・文●加茂郁実(フリーライター)

【PHOTO】ジェフユナイテッド千葉の増嶋竜也、佐藤寿人、田坂祐介の引退セレモニーを写真で振り返る
 
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