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その時、パリSGのロッカールームでは激論が交わされていた――。審判の人種差別発言で試合が打ち切りとなった“歴史的一夜”の舞台裏【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

結城麻里

2020年12月11日

元フランス代表FWは「再開するなんてとんでもない!」

翌日に再開された試合の前に両チームがともに円をつくり、ひざまずいて人種差別への抗議を示した。 (C)Getty Images

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 困惑したトーマス・トゥヘル監督は、選手の気持ちは理解しつつも、試合再開になったらプレーすべきだと説得し、ゲイエらと議論になったという。スタッフの一部も「ピッチに戻ることもシンボルになるのでは」と主張。スポーツディレクター(SD)のレオナルドは、試合再開になった場合は拳を突き上げて意志を表示しよう、と考えていたようだ。

 このころ、テレビ『La Chaine L’EQUIPE』は、急きょジブリル・シセに電話。「こういう場合、試合を再開すべきかどうかで意見が分かれるものですが、どう思いますか」と問われた元フランス代表FWは、「再開するなんてとんでもない! 問題を脇に置くことになるじゃないか! 何もなかったかのように再開するなど言語道断だ!」と激怒していた。

 だが問題の審判をVARに配置替えを行なって試合再開を狙ったUEFAは、バシャクシェヒル側からけんもほろろに拒否され、結局、同夜中の試合再開は断念せざるをえなくなった。そのころバシャクシェヒル選手団を乗せたバスは、すでにパルク・デ・プランスを去ろうとしていた。第4審判に詰め寄ったデンバ・バの携帯には、メッセージが山のように入っていたという。
 
 最終的にこの試合は、現地時間9日夕方、「13分、0-0」から再開され、試合開始前には全員が膝つきポーズで人種差別への抗議の意を示した。第1幕、第2幕ともに、フットボールの歴史にくっきりと刻まれることとなった。

 人種差別反対で試合をストップさせるという行動をとったパリ選手たちは、純粋スポーツ面でも責任をとり、真剣に戦い抜いて5-1で勝利。バシャクシェヒルの選手たちも、差別された屈辱とタレント力の差に泣かされながらも、最後まで堂々と戦い抜いた。

 12月10日、『L’EQUIPE』本紙の一面は、膝をついて拳を突き上げる選手たちの写真に、「一緒に」の大見出しを刷り込んでいた。

 人種差別があまりにも“平凡に”横行していることを浮き彫りにした今回の事件。そして“一緒に闘う”重要性を明示した選手たちの歴史的行動――。いまフットボーラーたちを先頭に何かが変化している。UEFAが詳しい調査結果と本格的対策を打ち出すことを、心から祈りたい。

取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI
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