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「ハンド・オブ・ゴッドは事件だが――」BBCチーフ記者が語るマラドーナの“神の手”に対する真の英国評【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

フィル・マクナルティ

2020年12月02日

「誰もボールを奪えなかった」当事者たちが語る“才覚”

イングランド守備陣の激しいマークを受けながら、ものともしなかったマラドーナ。実際に対戦した選手の印象は? (C) Getty Images

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 マラドーナの才覚は“当事者たち”も認めるところだ。

 あの5人抜きゴールを決められた際に、華麗に抜き去られたリードは、アルゼンチン戦の数十年後にマラドーナと再会し、「正面から見た彼が誰かがわからなかった。だって、メキシコでは後ろ姿をずっと追いかけていただけだから」と笑って話す。

 さらに1980年に注目され始めていたマラドーナを擁するアルゼンチン代表とウェンブリー・スタジアムで対戦し、試合後にシャツの交換したケビン・キーガンは、突然の訃報を聞き、稀代の天才についてこう述べていた。

「彼は弱冠20歳だったが、サッカーの聖地でとてつもないプレーをした。後にも先にも、彼のような選手は見たことがない。彼をどのように止めるべきか、誰もわからなかった。誰もボールを奪えなかったんだ」

 当時のキーガンといえば、78と79年に連続でバロンドールを獲得していた屈指のスターだった。そんな選手でさえも、マラドーナは別格と感じたのだ。
 
 ずばり、イングランドで、ひょうきんで明るかったマラドーナを憎むものは少ない。むしろ、34年前に傷心させられた人々の多くは、今回の訃報にショックを受けて、大いに悲しんでいる。 

 たしかに神の手はマラドーナの現役生活を物語るエピソードの一つではある。だが、彼の人生においては小さな出来事に過ぎないほど、その一生のスケールは壮大だった。

 それは、彼の死に対する各国のニュースを見ても十分に理解できだろう。ブエノスアイレスやナポリの街の様子を見れば一目瞭然だ。60歳という若さで命を落とした、元サッカー選手の話ではなく、強烈なキャラを備えたアイコンでありレジェンドが、この世を去ったのであると感じられる。サッカー界ではこの先、永遠に忘れられない、それこそ重大な事件といっても過言ではない。 

 また、イングランドでは、「マラドーナ=メキシコ・ワールドカップ」と思われる節があるが、世界のサッカーファンは、この天才が4年後の90年イタリア大会でも、獅子奮迅の活躍で自国を決勝までけん引したことも忘れてはいない。

 惜しくも西ドイツ代表に敗れて連覇はならなかったが、マラドーナはサッカー史で稀にみる才能の持ち主だったことを改めて証明した大会だった。
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