南アフリカで目立ったマラドーナ。一方でメッシは――
10年前のちょうど今頃、私は南アフリカにいた。現在は廃刊となってしまったアルゼンチンのスポーツ専門誌『エル・グラフィコ』の特派として、初めてアフリカ大陸で開催されたワールドカップを取材するためだ。
あの大会に出場したアルゼンチン代表には、リオネル・メッシをはじめとするスター選手が揃っていたが、誰よりも異彩を放ち、目立ち、注目を集めていたのは、なんと言っても、指揮官のディエゴ・マラドーナだった。
アルゼンチン代表のキャンプ地には、連日大勢のメディアが集まり、私たちは入場時間が来るまで寒いなかで待たされるのが日課になっていた。それも練習を見学できるのは終了前の15分間だけで、本格的な練習は終わっている。
ただ、それでも長蛇の列を作って、待つ価値があったのは、マラドーナがいたからだった。選手たちがロッカールームに引き上げてしまった後も、彼はFKを披露したり、ラグビーボールを使って遊んでみたりしながら、取材陣を楽しませてくれた。
あの大会に出場したアルゼンチン代表には、リオネル・メッシをはじめとするスター選手が揃っていたが、誰よりも異彩を放ち、目立ち、注目を集めていたのは、なんと言っても、指揮官のディエゴ・マラドーナだった。
アルゼンチン代表のキャンプ地には、連日大勢のメディアが集まり、私たちは入場時間が来るまで寒いなかで待たされるのが日課になっていた。それも練習を見学できるのは終了前の15分間だけで、本格的な練習は終わっている。
ただ、それでも長蛇の列を作って、待つ価値があったのは、マラドーナがいたからだった。選手たちがロッカールームに引き上げてしまった後も、彼はFKを披露したり、ラグビーボールを使って遊んでみたりしながら、取材陣を楽しませてくれた。
アルゼンチン代表監督として16年ぶりにワールドカップの檜舞台に戻ってきたマラドーナの写真が山ほど撮れた一方で、練習でメッシの姿をしっかりと捉える機会はほとんどなかった。当時23歳ながらエースとして期待されていた彼は、練習が終わるとカメラを避けるようにその場を去ってしまうことが多かったからだ。
たまに撮れても、立ち話をしているところや、4年前のドイツ大会と同様に1人でボールと遊んでいるようなシーンがほとんどで、『エル・グラフィコ』の編集部から依頼されていた「躍動感溢れるメッシのアクションシーン」は、試合でしか撮ることができなかった。
私には、数少ないメッシの写真のなかでも練習中に抑えたお気に入りの1枚がある。動きのあるショットではないが、チームメイトたちが戯れる様子を見ながら、良い笑顔を見せる若きエースを撮った写真だ。
やはり真横にいるマラドーナの存在感は強いものの、これがメッシにとって好都合なコンディションなのだと感じた瞬間だった。どういう意味か? それはマラドーナが人々の視線を一身に集める状況においては、余計な重圧がかかることもなかったからだ。
たまに撮れても、立ち話をしているところや、4年前のドイツ大会と同様に1人でボールと遊んでいるようなシーンがほとんどで、『エル・グラフィコ』の編集部から依頼されていた「躍動感溢れるメッシのアクションシーン」は、試合でしか撮ることができなかった。
私には、数少ないメッシの写真のなかでも練習中に抑えたお気に入りの1枚がある。動きのあるショットではないが、チームメイトたちが戯れる様子を見ながら、良い笑顔を見せる若きエースを撮った写真だ。
やはり真横にいるマラドーナの存在感は強いものの、これがメッシにとって好都合なコンディションなのだと感じた瞬間だった。どういう意味か? それはマラドーナが人々の視線を一身に集める状況においては、余計な重圧がかかることもなかったからだ。