選手権での昌平、矢板中央が楽しみになる戦い
結果的に言うと、両チームとも大きな収穫を掴んだ90分だった。「1年生がかなり伸びている」と藤島監督が言うように、篠田翼と佐藤が積極的な連携をとり、ドリブルでボールを運んで矢板中央の強固なブロックに果敢に挑んで行った。FW棟方豪郎もゼロトップ的にブロックの間を動いてボールを引き出し、決定機も作った。
一方で矢板中央は序盤こそ昌平にボールを握られるが、新倉を中心にブロックを崩すことなく要所で身体を張ると、21分にはGK藤井の特大キックからエースストライカーの多田が自慢のスピードで抜け出し、マイナスの折り返しを成長著しいMF鷹箸浩輔が蹴り込んで先制点。矢板中央の伝統とも言える高速カウンターできっちりと点を奪って見せた。
後半、昌平は棟方に代え、プロ注目の2年生レギュラー・平原隆暉、左サイドハーフに屈強な2年生サイドアタッカー・米蛇大洋を投入し、さらに攻撃の手を強めた。米蛇は左サイドから何度もカットインを仕掛けブロックに強引に割って入り、パスも引き出すなど、ブロック崩しに頭をフル回転させて果敢にチャレンジをした。
だが、それでもブロックは崩れず、72分には矢板中央がカウンターから多田のスルーパスに抜け出した途中出場の星が冷静に決めて追加点。リードを2点に広げられた昌平はここで佐藤に代えて小川を投入。より攻め手を強め、矢板中央を押し込んだが、76分のFW篠田大輝の決定的なシュートはGK藤井のビッグセーブに阻まれた。
一方で矢板中央は序盤こそ昌平にボールを握られるが、新倉を中心にブロックを崩すことなく要所で身体を張ると、21分にはGK藤井の特大キックからエースストライカーの多田が自慢のスピードで抜け出し、マイナスの折り返しを成長著しいMF鷹箸浩輔が蹴り込んで先制点。矢板中央の伝統とも言える高速カウンターできっちりと点を奪って見せた。
後半、昌平は棟方に代え、プロ注目の2年生レギュラー・平原隆暉、左サイドハーフに屈強な2年生サイドアタッカー・米蛇大洋を投入し、さらに攻撃の手を強めた。米蛇は左サイドから何度もカットインを仕掛けブロックに強引に割って入り、パスも引き出すなど、ブロック崩しに頭をフル回転させて果敢にチャレンジをした。
だが、それでもブロックは崩れず、72分には矢板中央がカウンターから多田のスルーパスに抜け出した途中出場の星が冷静に決めて追加点。リードを2点に広げられた昌平はここで佐藤に代えて小川を投入。より攻め手を強め、矢板中央を押し込んだが、76分のFW篠田大輝の決定的なシュートはGK藤井のビッグセーブに阻まれた。
82分にはカウンターから多田が試合を決定づける3点目を奪うと、昌平は米蛇に代えて須藤を投入。最後はベストメンバーに近い布陣となったが、1点が遠くそのまま試合はタイムアップとなった。
矢板中央は主軸が強固な柱となり、決定的な仕事をこなした。その主軸をしっかりとサポートし、かつチームのコンセプトをプレーで表現する選手たちが多く、選手層の厚さと戦術浸透度の高さを見ることができた。
昌平は相手の得意な形で押し切られてしまったが、1年生が臆することなくプレーし、途中投入された選手もブロックを崩すための攻撃のアイデアを出そうとする姿勢が見えた。平原、小川、須藤が入るとさらにパススピードが上がり、より攻撃の精度が高まったのは事実だが、チャンスをもらった選手がさらに経験を積めば、今年の3年生が卒業しても、ハイレベルなサッカーを展開できる予感はあった。
スコア以上に得たものが大きかったこの一戦は、今後の両チームにどのような影響を与えるのか。選手権までこうした機会は残り3試合ある。明確な意図を持った選手起用、コンセプトの徹底など、この270分間を有意義に活用したチームが選手権で大きな花を咲かせるだろう。選手権での昌平、矢板中央が楽しみになる戦いだった。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
矢板中央は主軸が強固な柱となり、決定的な仕事をこなした。その主軸をしっかりとサポートし、かつチームのコンセプトをプレーで表現する選手たちが多く、選手層の厚さと戦術浸透度の高さを見ることができた。
昌平は相手の得意な形で押し切られてしまったが、1年生が臆することなくプレーし、途中投入された選手もブロックを崩すための攻撃のアイデアを出そうとする姿勢が見えた。平原、小川、須藤が入るとさらにパススピードが上がり、より攻撃の精度が高まったのは事実だが、チャンスをもらった選手がさらに経験を積めば、今年の3年生が卒業しても、ハイレベルなサッカーを展開できる予感はあった。
スコア以上に得たものが大きかったこの一戦は、今後の両チームにどのような影響を与えるのか。選手権までこうした機会は残り3試合ある。明確な意図を持った選手起用、コンセプトの徹底など、この270分間を有意義に活用したチームが選手権で大きな花を咲かせるだろう。選手権での昌平、矢板中央が楽しみになる戦いだった。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)