しかし、それだけでは足りないことは、本人も自覚し始めている。今季はG大阪で「僕には簡単なゴールが足りない。僕はこれまでオン（・ザ・ボールのプレー）に頼り切ってきた。オフ（・ザ・ボール）の動きを覚えれば、もっと怖い選手になれる」と言い続ける。
 
　相手DFの一瞬の隙を突き、裏へ抜け出したり、マークを外すプレーだ。それができれば、ゴール前でフリーになる回数は必ず増える。メッシやネイマールのプレーを参考にしながら、オフ・ザ・ボールの動きを磨こうとしている。
 
　もうひとつの課題は、守備への貢献度の低さだ。ハリルホジッチ監督は、合宿最初のミーティングで昨夏のブラジル・ワールドカップと、今年１月のアジアカップの失点シーンなどの映像を見せて日本代表の甘さを指摘した。
 
　宇佐美も「ミリ単位ではないが、守備面でのポジショニングは細かい」と語っているように、守備組織の一員として機能しないとなれば、出場のチャンスは減る。ポジションを争うであろう武藤や永井は、ハードワークを厭わないタイプ。宇佐美には運動量や球際で戦う意識など守備的な能力が足りないだけに、新指揮官の戦術にどう適応するかに注目が集まる。
 
　19歳で初めて日本代表に選ばれた時も「技術だったり突破力だったり、自分の長所は代表でも通用する」と語っていた。その当時と比べて、「長所の部分でも成長していると思うし、少なからず短所の部分も成長していると思う」（宇佐美）。足りない部分はあっても、そのまばゆい輝きで観る者を惹き付けるアタッカーが、代表定着を狙う。