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【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田へのブーイング…その背景にある事情とは」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年03月25日

ミランの緊縮財政の象徴として非難の矢面に立たされている本田。

チェルチとのポジション争いではリードしている本田だが、現状のままなら、ふたりでベンチに並ぶ日も遠くないだろう。 (C) Alberto LINGRIA

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 第2の理由は、本田にとってはかなり理不尽に映るだろうが、より根深い問題でもある。それは、本田が移籍金なしでミランに加入したことに由来する。
 
 今、ミラニスタが一番不満に感じているのは、クラブがチームにお金をかけるのをやめてしまったことだ。ミランは今や、契約切れで無料の選手か、レンタルでしか選手を取らない。本田はその代表的な存在、そしてミランの緊縮財政の象徴的存在となってしまっている。もちろん、このことについて本田には何の罪もない。
 
 10年前、いや、そこまでさかのぼらずとも、ミランはカルチョメルカートでは常にひと際大きな存在感を放っていた。それが今では……。
 
 契約切れの選手や、シーズン終了後にはまた元のチームに戻ってしまう選手ばかりでチームを形成して強くなれるはずがない。そのことを理解しているミラニスタたちは、本田というよりも、彼の背景にあるミランの運営方法にブーイングを浴びせたのである。
 
 とはいえ、本田を擁護ばかりもできない。そのパフォーマンスの低下は明らかだからだ。かつて 次々とゴールを生み出していた本田の“足”は、いつの間にかどこかに消え失せてしまった。今では、たまに良いプレーを見せるものの、それ以上に多くボールを逸する場面が見受けられる。ゴール前に攻め上がることもめっきり少なくなった。
 
「ガゼッタ・デッロ・スポルト」が毎試合、各選手につける採点が、本田の状況を如実に物語っている。アジアカップから戻ってからの彼の採点は、6が2回、4.5が2回、4が1回、そして5が2回である。10点満点中6が平均とされているから、本田が合格点からは程遠い評価であることが分かるだろう。
 
 つまり、本田は昨シーズンのレベルに戻ってしまったのだ。ピッチ上の課題も、昨春までと全く同じだ。敵をかわせず、1対1に弱く、ダッシュできない――。だから本田は、昨シーズンにブーイングされていたのと同じように、今、ミラニスタの非難の標的となっているのだ。
 
 本田が活躍するには、常にフィジカルコンディションが最良でなければダメだという印象を、筆者は持っている。少しでも体調が悪いと、本田は自分の武器を活かすことができない。少なくとも、イタリアにおいてはそのようである。
 
 彼のライバルであるアレッシオ・チェルチも不調である現在、本田にとっては自分の好きなポジションでプレーできる状況であり、これを活かせば、再びチームのなかで確固たる居場所を得られるだろう。
 
 しかし逆に、今ここで力を見せられなければ、今後怪我で欠場していた中盤の選手たちが戻って来た時、本田の立場はかなり厳しくなる。このひどいシーズンの最後の数試合を、ベンチで観戦しなければならない可能性も出てくるだろう。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
 
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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