良い時の本田を知ってしまったサポーターは現状を受け入れない。
何もかもが不透明で、確かなものが何ひとつない今のミラン。そのなかでひとつだけ断言できることがある。
それは、壊滅的な状況のチームを前に、ミラニスタたちはどうしていいか分からず途方に暮れているということだ。一体この怒りを誰にぶつけたらいいのか――。混乱したミラニスタの姿は、ミランの現状を映し出す鏡でもある。
クルバ・スッド(応援席)に陣取るウルトラスたちは、諸悪の根源はアドリアーノ・ガッリアーニ副会長であると断言。シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーに対し、ガッリアーニ副会長を追い出し、オーナーの娘であるバルバラに全ての権限を与えるよう要求している。
その一方で、現場の責任者であるフィリッポ・インザーギ監督に対するウルトラスの態度はまだ柔らかい。選手時代に“ピッポ”が残してきた大きな功績が、彼らの舌鋒を鈍らせているのだ。現役時代の大いなる遺産が今、活きていると言えよう。
しかし、この遺産がどれほど莫大であっても、無限ではない。ウルトラスはピッポのことを“被害者”とみなしているが、多くのミラニスタはインザーギ監督だけがミスを犯したとまでは言わないものの、今のこのひどい順位に関しては少なからず指揮官に責任があると考えている。
リーグ戦はあと10試合を残すところとなったが、来シーズン、欧州カップ戦でプレーするのはほぼ絶望的だ。ミラニスタたちの我慢も、限界に近づきつつある。
カリアリ戦でのサポーターのボイコットは、前例のない出来事だった。ウルトラスたちはいつも彼らが陣取っているクルバを空っぽにし、その他のミラニスタたちにも自分たちに倣うよう呼びかけた。
その結果、サン・シーロのスタンドはがらがら、ミランのフラッグもなければ、赤と黒のチームカラーさえ見られない。もちろん声援もなし。唯一、ゴール裏に掲げられていた横断幕には「ゲームオーバー」「コインを入れてください&#Save ACMilan」と書かれていた……。
そのカリアリ戦だが、ミランは3-1で4試合ぶりの勝利を飾った。しかしそれでも、スタジアムに平和は戻らなかった。いや、それどころか、より厳しい非難の声がチームや選手に向かって投げつけられたのである。
試合中、ミランの選手たちがミスを犯すたびに、サン・シーロには非難の口笛や罵声が響いた。そして、そのなかで最も大きなブーイングを浴びていたのは、誰あろう本田圭佑だった。
なぜ本田が? ピッチ上では最後の汗の一滴まで出し惜しみせず(それが結果につながっているかは別だが)、ベンチに座らされた場合でも文句を言うどころか、逆に自身が上達するにはどうしたらいいか監督に尋ねる。そんなチームに忠実な選手に対し、なぜミラニスタは罵声を浴びせるのか? どう考えても、これは不当ではないか?
残念ながら、これは受け入れざるをえない現実なのだ。
ミラニスタは、勝利と栄光に慣れている。彼らが見たいのは、ほかの選手とは違うことができる非凡なプレーヤーだ。その点で、本田は開幕から数試合こそ“違い”を見せたものの、その後はさっぱりだ。本田がどこまでやれるか、良い時の本田がどれほどのものなのかを知ってしまったミラニスタたちは、もはや並のプレーを許さない。
しかし、不運な結果に終わってしまったアジアカップから帰ってきて以来、本田は(ミラニスタから見て)彼の相応しいプレーを見せることができないでいる。これが、ブーイングを浴びている第1の理由だ。
それは、壊滅的な状況のチームを前に、ミラニスタたちはどうしていいか分からず途方に暮れているということだ。一体この怒りを誰にぶつけたらいいのか――。混乱したミラニスタの姿は、ミランの現状を映し出す鏡でもある。
クルバ・スッド(応援席)に陣取るウルトラスたちは、諸悪の根源はアドリアーノ・ガッリアーニ副会長であると断言。シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーに対し、ガッリアーニ副会長を追い出し、オーナーの娘であるバルバラに全ての権限を与えるよう要求している。
その一方で、現場の責任者であるフィリッポ・インザーギ監督に対するウルトラスの態度はまだ柔らかい。選手時代に“ピッポ”が残してきた大きな功績が、彼らの舌鋒を鈍らせているのだ。現役時代の大いなる遺産が今、活きていると言えよう。
しかし、この遺産がどれほど莫大であっても、無限ではない。ウルトラスはピッポのことを“被害者”とみなしているが、多くのミラニスタはインザーギ監督だけがミスを犯したとまでは言わないものの、今のこのひどい順位に関しては少なからず指揮官に責任があると考えている。
リーグ戦はあと10試合を残すところとなったが、来シーズン、欧州カップ戦でプレーするのはほぼ絶望的だ。ミラニスタたちの我慢も、限界に近づきつつある。
カリアリ戦でのサポーターのボイコットは、前例のない出来事だった。ウルトラスたちはいつも彼らが陣取っているクルバを空っぽにし、その他のミラニスタたちにも自分たちに倣うよう呼びかけた。
その結果、サン・シーロのスタンドはがらがら、ミランのフラッグもなければ、赤と黒のチームカラーさえ見られない。もちろん声援もなし。唯一、ゴール裏に掲げられていた横断幕には「ゲームオーバー」「コインを入れてください&#Save ACMilan」と書かれていた……。
そのカリアリ戦だが、ミランは3-1で4試合ぶりの勝利を飾った。しかしそれでも、スタジアムに平和は戻らなかった。いや、それどころか、より厳しい非難の声がチームや選手に向かって投げつけられたのである。
試合中、ミランの選手たちがミスを犯すたびに、サン・シーロには非難の口笛や罵声が響いた。そして、そのなかで最も大きなブーイングを浴びていたのは、誰あろう本田圭佑だった。
なぜ本田が? ピッチ上では最後の汗の一滴まで出し惜しみせず(それが結果につながっているかは別だが)、ベンチに座らされた場合でも文句を言うどころか、逆に自身が上達するにはどうしたらいいか監督に尋ねる。そんなチームに忠実な選手に対し、なぜミラニスタは罵声を浴びせるのか? どう考えても、これは不当ではないか?
残念ながら、これは受け入れざるをえない現実なのだ。
ミラニスタは、勝利と栄光に慣れている。彼らが見たいのは、ほかの選手とは違うことができる非凡なプレーヤーだ。その点で、本田は開幕から数試合こそ“違い”を見せたものの、その後はさっぱりだ。本田がどこまでやれるか、良い時の本田がどれほどのものなのかを知ってしまったミラニスタたちは、もはや並のプレーを許さない。
しかし、不運な結果に終わってしまったアジアカップから帰ってきて以来、本田は(ミラニスタから見て)彼の相応しいプレーを見せることができないでいる。これが、ブーイングを浴びている第1の理由だ。