【岩政大樹】“試合巧者”とはどんなチームなのか?メキシコにあって日本にないものとは

カテゴリ:日本代表

岩政大樹

2020年11月18日

「良い経験」で済ませてはいけないレベルに日本代表はいます

先制点を許した5分後に、イルビング・ロサーノ(22番)に追加点を許してしまった日本。写真:龍フェルケル

画像を見る

 ただ、試合は90分あります。最初の流れを受けて、次の流れがあり、その流れを受けてからまたその次があります。つまり、全て“物語”として繋がって“現象”が起こっていきます。メキシコ代表に日本代表が上回られてしまったのは、ここだったと思います。

 日本は、中央を閉められた後にそのままかなりの時間を無駄に浪費してしまいました。つまり、次なる策を見つけられずに試合を過ごしてしまったということです。

 最初は、“そのままでいけるかどうか”やってみることは悪くないと思います。しかし、後半15分を過ぎて失点をしてしまうまでに「次の策が見つけられない」もしくは「見つからないなら我慢をして時間をやり過ごす」そのどちらもできなかったので、結果この部分が前半のメキシコ代表と明暗を分けてしまったところとなるでしょう。

 攻撃に関しては、中央以外の別の場所に起点を作ることができなかったことが大きかった。ならば、選手で少し立ち位置や狙いを変えていくことも一つ、選手を入れ替えて個性を変えることも一つだったと思いますが、それは明確には試されませんでした。
 
 守備に関しては、やはりこのチームでずっと見られている課題が散見されました。

 それは守備の個々のタスクや意識の置き方が曖昧でずれてしまっているために、特に横の距離が徐々に伸びてしまうことです。4−4−2(4−2−3−1)で立ち位置を取ると、均等に立つシステムであるが故に、逆に曖昧になりやすいところが現象としても見えてきてしまっています。基準を揃えて、意識を揃えて、守備でも“同じ絵”を描いてサッカーをすることができないと、このレベルの相手には「守り切って我慢する」というのは許してもらえないな、と再確認できました。

 さて、日本代表は良い相手と試合ができました。今のメキシコ代表はかなり強い。中堅から若手にかけての選手に勢いがあり、伝統的な“試合巧者ぶり”は健在です。とはいえ、「良い経験」で済ませてはいけないレベルに日本代表はいます。日本代表も様々に選手が出てきました。以前は不安とされていたポジションにも選手は育ってきています。

 ただ、“試合巧者”という部分に関してはどうでしょうか。そもそも“試合巧者“とはどんなチーム、どんな選手なのか。

 私はそれを「試合を文脈で捉え、物語で考える」と置き換えています。そんなことをまた考えさせられた2020年最後の、貴重な強化試合でした。

【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとし2007年から前人未踏のJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカ・ワールドカップメンバーにも選出された。現在は解説者などで活躍中。
 
【関連記事】
【日本0-2メキシコ|採点&寸評】前半のチャンスを仕留め切れず…後半は自慢の守備陣も苦戦
【メキシコ戦|動画&記事一覧】Pick up PLAYERS、採点&寸評、プレー分析、各国メディアの評価、PHOTOギャラリーetc.
「韓国ほど我々を恐れていなかった」メキシコ紙が日本戦を総括! 変貌ぶりに“違和感”も「日本がなぜか減速した…」
「日本戦の英雄だ」森保ジャパンに立ちはだかったメキシコ守護神に海外メディアで絶賛の嵐!「並外れたセーブだった」
「FWとしての責任を感じている」決定機逸の鈴木武蔵が感じた相手FWヒメネスとの差

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ