選手間の話し合いやピッチ上の臨機応変も必要ではあるが…
逆に遠藤投入後は、パナマのプレスの緩みもあり、速い攻撃で決定機を連発した。決勝点となるPKを生んだのも、一度最後尾に降りた遠藤が、マークするカラスキージャのボールサイドへのスライドで自分を見失っているのを確認。中央にポジションを移しフリーで植田直通からのパスを引き出し、そのまま久保へ繋げて南野拓実へのダイレクトのラストパスを導いた。遠藤の縦パス→FWのダイレクト処理→そこからの連動という展開が何度か続くことで、幅を使う攻撃へと繋がっていった。また鎌田大地が交代出場するとキープ力、迅速な判断が際立ち、とりわけ同時に交代で入った浅野拓磨を有効活用し、パナマは退場者を出すことになった。
試合後の指揮官は「チーム全体の力をつけるには、経験の浅い選手にも強い相手と戦わせていく必要がある」と、多分にチャレンジ色の濃い試合だったことを示唆した。その点でメンバーの鮮度の高さを考えれば、それなりに意義深い一戦だったという見方も出来る。
試合後の指揮官は「チーム全体の力をつけるには、経験の浅い選手にも強い相手と戦わせていく必要がある」と、多分にチャレンジ色の濃い試合だったことを示唆した。その点でメンバーの鮮度の高さを考えれば、それなりに意義深い一戦だったという見方も出来る。
だが反面前半の停滞への特効薬が、遠藤という個の投入だったという事実がある。それなら攻撃の基盤となるビルドアップ部分や、パナマ戦では見られなかった「ボールを大切にしてコントロールする」方法については、改めて擦り合わせ、全体への落とし込みの効率性を高めたい。選手間の話し合いやピッチ上の臨機応変も必要だが、迷いや躊躇を減らし判断を加速させるのは、明確な指針に裏打ちされた適切な伝達だと思う。
文●加部 究(スポーツライター)
【動画】南野のPK弾で日本が勝利!パナマ戦ハイライト