「共感」――成長過程のドラマやロマンを共有

大木プロデューサーもお気に入りだという安田晃大。ユニホームの胸部は「MIRAIRE」社のロゴが入る。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

今季加入の楠神順平は南葛SCの社員選手に。ユニホームの左肩には「プライム薬局」のロゴが入る。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)
第二の理由は「共感」だ。すでにJ1リーグに上り詰めたクラブではなく、これから上を目指す成長の過程をともに歩むことで、その過程にあるドラマやロマンを共有したいという思いだ。これは上位カテゴリのクラブにはない魅力である。しかも南葛SCの場合、今年の2月にJリーグ百年構想クラブになったことで、Jリーグ入りを決して夢物語でなく、現実の目標として内外に示したことが大きい。
2020年シーズンより南葛SCユニホームの胸に入っている「miraire」のロゴ。株式会社MIRAIREは、東京都渋谷区に本社を置き、主にスマホ向けアプリケーションを手掛けるベンチャー企業だ。2020年10月に『キャプテン翼』の位置ゲームとなる「TSUBASA+」というスマホアプリをローンチした。『キャプテン翼』がきっかけになったことは間違いないが、南葛SCに共感してスポンサーになったことも間違いない。ちなみに、社名には“MIRAI”(未来)+“IRE”(歩く)という2つの想いが込められている。
「私たちもベンチャー企業ですが、日本だけではなく世界のユーザーが楽しめるようなゲームや、サービスを提供していくことを目標にしており、南葛SCの葛飾からJリーグを目指しているマインドにとても共感をもたせていただきました」
というのが率直な理由だろう。
先ほど登場したKLab株式会社の大木プロデューサーも同意見だ。
「我々では作りだせないリアルな喜びやリアルな感動がリアルなサッカーで生まれる。そしてその感動をサポーターやフロントの方々と共有しながらJリーグを目指していくプロジェクトに参加させてもらえるのは大きなメリットと考えました」
「世界と自分をワクワクさせろ」
これは同社のミッションだ。大木プロデューサーは、まさにこのミッションを地で行く。なにせ、南葛SCのスポンサーとしてだけでなくサポーターとして、ホームはもちろんアウェーでの試合も現地を訪れているのだ。
「純粋に応援したいし、そう見られたいので現地に行っています。現地に行くと、本当に下町のアットホームな空気が伝わってきます。親子で観戦していたり、ヤジがいっさいない温かみもある。老若男女問わず、誰でも観戦しやすい環境です。『キャプテン翼』の登場キャラクターの格好をしたサポーターがいるところが独特で楽しいですよね」
安田晃大に注目しているという大木プロデューサーは、ピッチからも刺激を受ける。
「どんな試合でも選手が一切手を抜かず全力でプレーしているというのが、私の印象です。今シーズンはコロナ禍で現地に行けていませんが、ネット中継を見る限り、より戦術的に戦えるようになっている。見ていて急成長を感じられるのはいちファンとして嬉しい限りです」
集客数はJリーグほどではないとはいえ、独特のスタジアムの雰囲気だからこそ味わえる喜びもある。南葛SCの場合、ホームの奥戸総合スポーツセンターで試合が行なわれる場合は、試合前にスポンサーがアナウンスされる。その時に拍手してもらえるのがなによりの喜びだとか。
「温かく迎えてくれている感じが嬉しいんです。私がツイッターで発信しても、サポーターの方から好意的な反応がすごく多かったり。やはり下町独特の人と人の近さはあると思います」
プライム薬局も「幅広い年齢層の方と出会えたこと」をスポンサーメリットとして挙げる。そして、「地元ラジオや試合会場で企業名を紹介、試合ユニホームに社名が入っていること」に温もりと誇りを感じている。人と人とのつながり、そして人の感情が生み出す熱量。やはりこれらは費用対効果だけでは測れない重要なメリットになっていると言えるだろう。
ただ一方で、「地域密着」「共感」は南葛SCではないクラブにもある。次回は南葛SCにしかない「付加価値」について踏み込んでいく。
※後編につづく。次回は明日16日に公開します。
取材・文:伊藤 亮
2020年シーズンより南葛SCユニホームの胸に入っている「miraire」のロゴ。株式会社MIRAIREは、東京都渋谷区に本社を置き、主にスマホ向けアプリケーションを手掛けるベンチャー企業だ。2020年10月に『キャプテン翼』の位置ゲームとなる「TSUBASA+」というスマホアプリをローンチした。『キャプテン翼』がきっかけになったことは間違いないが、南葛SCに共感してスポンサーになったことも間違いない。ちなみに、社名には“MIRAI”(未来)+“IRE”(歩く)という2つの想いが込められている。
「私たちもベンチャー企業ですが、日本だけではなく世界のユーザーが楽しめるようなゲームや、サービスを提供していくことを目標にしており、南葛SCの葛飾からJリーグを目指しているマインドにとても共感をもたせていただきました」
というのが率直な理由だろう。
先ほど登場したKLab株式会社の大木プロデューサーも同意見だ。
「我々では作りだせないリアルな喜びやリアルな感動がリアルなサッカーで生まれる。そしてその感動をサポーターやフロントの方々と共有しながらJリーグを目指していくプロジェクトに参加させてもらえるのは大きなメリットと考えました」
「世界と自分をワクワクさせろ」
これは同社のミッションだ。大木プロデューサーは、まさにこのミッションを地で行く。なにせ、南葛SCのスポンサーとしてだけでなくサポーターとして、ホームはもちろんアウェーでの試合も現地を訪れているのだ。
「純粋に応援したいし、そう見られたいので現地に行っています。現地に行くと、本当に下町のアットホームな空気が伝わってきます。親子で観戦していたり、ヤジがいっさいない温かみもある。老若男女問わず、誰でも観戦しやすい環境です。『キャプテン翼』の登場キャラクターの格好をしたサポーターがいるところが独特で楽しいですよね」
安田晃大に注目しているという大木プロデューサーは、ピッチからも刺激を受ける。
「どんな試合でも選手が一切手を抜かず全力でプレーしているというのが、私の印象です。今シーズンはコロナ禍で現地に行けていませんが、ネット中継を見る限り、より戦術的に戦えるようになっている。見ていて急成長を感じられるのはいちファンとして嬉しい限りです」
集客数はJリーグほどではないとはいえ、独特のスタジアムの雰囲気だからこそ味わえる喜びもある。南葛SCの場合、ホームの奥戸総合スポーツセンターで試合が行なわれる場合は、試合前にスポンサーがアナウンスされる。その時に拍手してもらえるのがなによりの喜びだとか。
「温かく迎えてくれている感じが嬉しいんです。私がツイッターで発信しても、サポーターの方から好意的な反応がすごく多かったり。やはり下町独特の人と人の近さはあると思います」
プライム薬局も「幅広い年齢層の方と出会えたこと」をスポンサーメリットとして挙げる。そして、「地元ラジオや試合会場で企業名を紹介、試合ユニホームに社名が入っていること」に温もりと誇りを感じている。人と人とのつながり、そして人の感情が生み出す熱量。やはりこれらは費用対効果だけでは測れない重要なメリットになっていると言えるだろう。
ただ一方で、「地域密着」「共感」は南葛SCではないクラブにもある。次回は南葛SCにしかない「付加価値」について踏み込んでいく。
※後編につづく。次回は明日16日に公開します。
取材・文:伊藤 亮