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川崎番記者が知るバンディエラの素顔――引退を決めた35歳の中村憲剛が明かしていた赤裸々な胸の内

カテゴリ:Jリーグ

いしかわ ごう

2020年11月02日

「これ以上、望むとバチが当たるよ」そう語っていた35歳の中村のキャリアが翌年から一転…

バースデー弾を決めたFC東京戦、試合後に自身の手で「40」を表わす中村。残り9試合、いかなるパフォーマンスを見せてくれるだろうか。(C) SOCCER DIGEST

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 意外だった。ピッチ上でプレーする中村憲剛は、常に自信満々に見える。でも、試合前は逃げ出したくなるぐらいのプレッシャーを感じ、勝敗や自身の出来に不安を覚えることもあるのだ。それまでの十数年、一体どれだけ大きなものを背負い続けて、ピッチに立ち続けてきたのかと思うと、ちょっと言葉が出なくなってしまった。

 でも、そこで楽天的なのが中村憲剛なのだ。真面目な表情ながら、かつ少し茶目っ気を見せて、サッカーをして生きている喜びを語り始めたのだ。

「もちろん、悔しいこともたくさんあったよ。でも、サッカーをやれているからいいでしょって。好きなサッカーやって、お金をもらえて、表現できる場所がある。プロで十何年もやっているので、もう(勝負の世界が)人生の一部だから。好きなことが生活の基盤になって、さらに人々の心を揺らして……これ以上、望むとバチが当たるよ(笑)」

 この時のやりとりは妙に心に残っている。

 当時35歳。「根っからのサッカー小僧なんだな」と思うと同時に、残された時間を思うと、やっぱり「タイトルを獲って報われてほしい」と強く思ったものだ。

 1日の引退会見の中で、彼は35歳の時に40歳で辞めることを目標に頑張ると決めたことを明かしている。そして奇しくも、この2016年から毎年タイトルを獲得し始めている。

「35歳の時に(40歳で引退すると)決めてから、36歳でMVPをいただいて、37歳で初優勝して、その次の年はリーグ連覇して、去年はルヴァンカップ……本当になんだろう、終わりが決まったからこそというか、それまでの苦労がウソのように、個人もそうですけど、タイトルが手に入って……」

 あのとき、「これ以上、望むとバチが当たる」と話していた男のキャリアが、そこから急激に輝かしくなるとは、一体誰が予想しただろうか。

 ひとつ言えるのは、彼はそれだけのものを背負ってプレーし続けてきたということだ。しかもそれを「なんとかなるさ」の精神で常に乗り越えてきたということである。

 中村憲剛について語る時、レジェンド(伝説)というよりも、バンディエラ(旗頭)というフレーズの方がよく似合う。それだけ語られるべき歴史を刻みながらも、いまだ現在進行形で物語が続いている選手だからなのだろう。

 あと2か月、まだまだ中村憲剛の物語を表現し続けてほしい。

取材・文●いしかわごう(フリーライター)
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