【CLポイント解説】攻撃は単調で個の力も不十分…「3点目」が遠かったアーセナル

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年03月18日

ラムジー投入で中央突破に「偏る」の傾向もさらに強まり…。

突破力が影を潜めたA・サンチェス。アーセナルを逆転勝利に導く決定的な仕事はできずに終わる。 (C) Getty Images

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2点目を演出したパスを除けば、エジルも違いを作り出せなかった。 (C) REUTERS/AFLO

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4)ラムジーの投入で攻撃の圧力が高まったが…
 
 後半に入ってもアーセナルが攻め、モナコはひたすら守り倒すという展開は変わらず。まだ2点が必要なヴェンゲル監督は、時計が60分を回ったところで守備的MFのコクランを下げ、故障明けで完調とはいえないラムジーを投入する。
 
 中盤に縦の推進力が加わったことでアーセナルの攻勢はさらに強まった一方で、攻撃が中央突破に「偏る」傾向も強まり、モナコの厚い守備ブロックに穴を空けることができない。
 
 本来ならば、A・サンチェス、エジルという2人のテクニシャンが、爆発的な単独突破や意外性に富んだ決定的なラストパスによって違いを作り出すべきところなのだろうが、いずれもプレーにスピードとクイックネスを欠き、凡庸なパフォーマンスしか見せられなかったのが響いた。
 
 79分にやっと決まった2点目は、そのエジルが唯一見せた決定的な仕事によるもの。左サイドから裏に走り込んだモンレアルにピンポイントの浮き球パスを送り込んだのだ。そこからのクロスに合わせたウォルコットのシュートはポストに阻まれたものの、そのこぼれ球をラムジーが決めて、残り10分であと1点というところまでこぎ着けた。
 
5)攻撃のバリエーションも「個の力」も不十分だった
 
 その後もアーセナルは一方的に攻め続けたが、本当に危険な場面は、83分にエジルのFKにA・サンチェスが頭で合わせてGKの好セーブに阻まれた一度だけ。リズムに緩急を欠いた単調なパス交換によるコンビネーションにこだわり続けて、サイドからのクロスはもちろん、メルテザッカーを前線に上げてのパワープレーも、一か八かのミドルシュートもほとんど試すことがないまま、終了のホイッスルを聞いた。
 
 それがアーセナルのサッカーだと言えばそれまでだが、攻撃にバリエーションを欠いている上に、最後の30メートルで違いを作り出す個のクオリティも不十分となると、「ゴールの前に横たわったバス」をぶち破るのは難しい。
 
 偶発的なワンプレーがはまって2得点を挙げはしたものの、一方的に攻め続けている間も危険な香りが漂う場面がほとんどなかったところは、この日の明らかな限界だった。
 
 それでも、最終的な敗因をひとつ挙げるとすれば、第1レグのロスタイムに喫した3点目(あるいはそれをもたらしたゲームマネジメントの拙さ)だと言わなければならないのだが……。
 
文:片野道郎
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