サッカーダイジェスト編集長コラム――KAZU伝説に終わりは見えない

カテゴリ:Jリーグ

谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)

2015年03月14日

こうして日々を積み重ねて、50歳を迎えられたら――。

93年のJリーグ創設当時はV川崎の一員として活躍。初代MVPも獲得するなど「リーグの顔」となった。 (C)SOCCER DIGEST

画像を見る

1994-95シーズンには当時の世界最高峰リーグであるセリエAに参戦。ジェノアでのプレーは多くのファンに夢を与えた。 (C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 そして迎えた3月8日のザスパクサツ群馬との開幕戦。ミロシュ・ルス監督も4-4-2の新布陣に手応えを掴んだのか、敵地に乗り込んだ横浜FCのスタメンにはカズの名前があった。
 
 48歳と10日――。9年ぶりとなる開幕スタメンを飾り、自身の持つJリーグ最年長出場記録を早速塗り替えたのである。
 
 もっとも、この場所に辿り着くまでには長い道のりがあった。昨季は開幕前に負傷した影響もあり、リーグ戦の出場は2試合のみ。しかも、出場時間はわずか4分だった。
 
 純粋に「悔しかった」。だからこそ、例年は1月に行なうグアムでの自主トレを1か月も早めて実施し、身体の状態を細かくチェックしながら、開幕に向けてコンディションを整えてきた。
 
 その成果の表われか、群馬戦でのカズは誰よりも献身的だった。チームのひとつの歯車として、パートナーの大久保を活かしながら、中盤の寺田紳一や松下年宏の攻撃力も引き出す。
 
 もちろん、カズ自身は歯車で終わるつもりはない。昨季ノーゴールの不甲斐なさを胸に、「いつも以上に得点にこだわっていきたい」。2トップのパートナーを活かしつつも、常にストライカーとしての感覚を研ぎ澄まし、貪欲にゴールを目指しているのだ。
 
「試合に出られない時の悔しさ、試合に出られた時の喜び、試合に向けての準備、意欲。どれをとっても、30年間まったく変わっていないですね」
 
 尽きることのない闘争心と向上心、そしていつまでもサッカーを純粋に楽しむ気持ち。48歳にして、少年時代と変わらぬ心を持ち続けるカズなら、Jリーグ最年長出場記録はもちろん、最年長得点記録のさらなる更新にも大いに期待できる。
 
「こうして日々を積み重ねて、50歳を迎えられたらいいね。その先のことはまた、その先に――」
 
 ホーム開幕戦となる3月15日の2節・栃木戦のピッチにも、おそらく背番号11の姿はあるはずだ。日本のサッカーファンに多くの夢を与えてきたカズの伝説は、プロ30年目を迎えても、まだ終わりが見えない。
 
取材・文:谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)

――◆――◆――
 
※このエピソードを踏まえた三浦知良選手の独占インタビューと、編集部秘蔵写真を一挙に公開した特集「プロ30年目のKING カズ」は、現在発売中の『サッカーダイジェスト・3月26日号』で掲載中です。
 
【関連記事】
【三浦知良】48歳の決意! 「初心に戻り、強い決意で」
【横浜FC】システム、戦術もベールに包まれたまま 新指揮官のスタイルは?
【横浜FC】ミロシュ・ルス新体制が始動
【J1展望】1stステージ・2節|全9カードの予想布陣、各チームの最新動向をレポート!
【韓国メディアの視点】煮え湯を飲まされたハリルホジッチ氏の就任に警鐘も
セルジオ越後の天国と地獄「期待するのはピッチ外の改革だ」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ