ホームで勝てず16位に沈む仙台…ベテラン関口訓充がチームに求める「責任」「強度」

カテゴリ:Jリーグ

小林健志

2020年09月15日

「ピッチに出ている選手がもっともっとプレーしないといけない」

持ち前のキレあるドリブルは健在。現状にも下を向くことなくポジティブに取り組むことを宣言した。写真:田中研治

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 現状、特定の選手同士のコンビネーションは良いものを見せられているが、チーム全体の共通意識が希薄で、バランスを崩す場面が多い。意思統一をどう図っていくべきかを問うと、「ミスは誰でも起こりますし、どうこう言うことでもありませんが、そのプレーに対して責任を持たないといけないので、周りの選手は一つひとつのプレーに対し、要求し合ってもっともっと高みを目指さないといけないと思います」と、より選手同士で要求し合うことが必要だという。この話でもやはり「責任」という言葉が出てきた。

 関口は今必要なことを問われた際、こうも話した。
「負け続ければ監督の責任という話になりますが、ピッチに出ている選手がもっともっとプレーしないといけないと思います」

 仙台は手倉森誠元監督(現・J2長崎監督)が6年続けた後、アーノルド元監督は4か月と短命に終わったが、その後を引き継いだ渡邉晋前監督が5年8か月と、長期にわたり同じ監督が指揮を執ることが多かった。その長期政権を引き継いだ木山監督は、さまざまな試行錯誤をしてきたが、攻撃面では良いパスワークを見せても得点が奪えず、守備面ではバランスを崩し大量失点する試合も多い。

 これまでなら長きにわたる指揮を執ってきた指導者が何とかしてくれるという拠り所があったが、やはり長期政権後の難しさを感じさせる状況だ。こうした拠り所の無い状況下で関口の語る「責任」という言葉の持つ意味は重い。今はもう手倉森元監督にも渡邉前監督にも頼れない。そうした中で選手一人ひとりが自立し、一つひとつのプレーに責任を持つことの重要性を、クラブの歴史を知る関口は語っている。もちろん木山監督による戦術的な修正は必要な状況だが、監督に選手が依存するのではなく、選手一人ひとりも責任を持って日々の練習や試合に取り組むことが重要だ。

 手倉森元監督退任後、アーノルド元監督の体制がうまくいかず、バトンを託された渡邉前監督は試行錯誤の結果、「立ち位置」という新たな概念を採り入れ、仙台の新しいスタイルを築いた。そして今、木山監督による新しいスタイルを模索する試行錯誤の苦しみを味わう時期に入った。新しいスタイルを築くためには、監督ひとりではなく、選手全員の力、そして新しい試みを理解し支えるサポーターの力も必要だ。

 関口は次節までに取り戻したいことは何かを問われ、「勝てないと自信を持てず下を向くことが増えますが、僕は逆に上を向いてポジティブに今の現状を受け止めつつ、しっかり自分たちの力をつける時だと思うので、相手どうこうよりもこの1試合1試合どんな結果になろうとも下を向かずにやり続けることが大事だと思います」と語る。試行錯誤はこれからまだしばらくは続くだろう。そこでどこまでポジティブな気持ちを保って戦い続けることができるか。J2降格が無くさまざまなチャレンジができる今季、仙台に挽回の時間はまだ残されている。

取材・文●小林健志(フリーライター)
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