「この10か月が、早送りのように自分の頭の中を巡っていった」
そして迎えた8月29日の清水戦。アップへと出てくる選手の列の最後尾には中村の姿があった。ドレッシングルームからピッチへ続く通路、そして目の前に広がる等々力のスタンドとピッチ。そこに足を踏み入れた時、なにを感じただろうか。深々とスタンドに頭を下げ、サポーターへ誰よりも長く拍手を送った姿からは、感慨深さ、そして支えてくれた人への感謝への想いが表われていたように映る。
そこで試合後の冒頭のやりとりだ。復帰戦の感想を「長くなりますよ」と笑みを浮かべながら、言葉を一つひとつ、紡ぎ出すように語ってくれた。
「10か月ぶりなので。怪我をしたのは11月の等々力での広島戦。まあ、そこから今日のこの日まで、今日のこの日のためにすべて捧げてやってきたので、コロナの影響でサポーターの人たちが、5000人までしか入れなかったり、声を出せなかったりと、色々ありましたが、それでも十分、等々力の良さ、温かさは僕にとって大きなものでした。
皆、待ち望んでくれていたと思うんですが、誰よりも自分が待ち望んでいた瞬間だったので、点を取ろうとは全く思っていませんでしたし、とにかく今日1日を怪我なく無事に終えることをメンバーに入った時から、昨日からずっと考えていて、それで皆が点を取ってくれて、自分が出やすい形にしてくれたので、感謝したいですし、まさか点が取れるとは思わなかったので、本当に感謝、それしかない。この10か月が、早送りのように自分の頭の中を巡っていった1日だったと思います。
今日に関して言えば、来てくれた人、ダ・ゾーンで見てくれている人、待ち望んでいた人たちに、すべての人たちに、自分がサッカーをする姿を見せたいというのがあったので。それで点を取ったということで次節以降ハードルが上がってしまいましたが、それも今までやって積み重なってきたものが出たわけなので、そこは自信を持ってやっていきたいです」
そこで試合後の冒頭のやりとりだ。復帰戦の感想を「長くなりますよ」と笑みを浮かべながら、言葉を一つひとつ、紡ぎ出すように語ってくれた。
「10か月ぶりなので。怪我をしたのは11月の等々力での広島戦。まあ、そこから今日のこの日まで、今日のこの日のためにすべて捧げてやってきたので、コロナの影響でサポーターの人たちが、5000人までしか入れなかったり、声を出せなかったりと、色々ありましたが、それでも十分、等々力の良さ、温かさは僕にとって大きなものでした。
皆、待ち望んでくれていたと思うんですが、誰よりも自分が待ち望んでいた瞬間だったので、点を取ろうとは全く思っていませんでしたし、とにかく今日1日を怪我なく無事に終えることをメンバーに入った時から、昨日からずっと考えていて、それで皆が点を取ってくれて、自分が出やすい形にしてくれたので、感謝したいですし、まさか点が取れるとは思わなかったので、本当に感謝、それしかない。この10か月が、早送りのように自分の頭の中を巡っていった1日だったと思います。
今日に関して言えば、来てくれた人、ダ・ゾーンで見てくれている人、待ち望んでいた人たちに、すべての人たちに、自分がサッカーをする姿を見せたいというのがあったので。それで点を取ったということで次節以降ハードルが上がってしまいましたが、それも今までやって積み重なってきたものが出たわけなので、そこは自信を持ってやっていきたいです」
そして強調するのはやはり感謝の想いだ。
「周りの人がいないと、今の自分はないので、感謝しかない。周りのスタッフ、チームメート、移籍していった選手で同じ怪我をした選手もいます。いろんな人から励ましの言葉をもらいました。1日1日、積み重ねてこの試合を迎えました。ただリハビリすることがゴールだったら、今日こういう形で試合を過ごすことはできなかったと思います。今日をスタートにしないといけないと思いましたし、自分がプレーする姿を待っている人に見せないといけません。自分が点が取れたのは予想以上でしたが、本当に良かったと思います。等々力に神様はいたなというのはある。等々力じゃなかったら、こうならなかったのかなと」
“持っている”だけでは形容できない、中村憲剛だからこそ奪えたゴールであり、感動と勇気を与える復帰戦になったのだろう。大きな怪我さえも、自らの進化の糧にし、新たな姿を見せる――。これぞ中村憲剛というプレーは、多くの人の心を動かしたはずだ。それこそ、不世出のプレーヤーと言えるのだろう。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
「周りの人がいないと、今の自分はないので、感謝しかない。周りのスタッフ、チームメート、移籍していった選手で同じ怪我をした選手もいます。いろんな人から励ましの言葉をもらいました。1日1日、積み重ねてこの試合を迎えました。ただリハビリすることがゴールだったら、今日こういう形で試合を過ごすことはできなかったと思います。今日をスタートにしないといけないと思いましたし、自分がプレーする姿を待っている人に見せないといけません。自分が点が取れたのは予想以上でしたが、本当に良かったと思います。等々力に神様はいたなというのはある。等々力じゃなかったら、こうならなかったのかなと」
“持っている”だけでは形容できない、中村憲剛だからこそ奪えたゴールであり、感動と勇気を与える復帰戦になったのだろう。大きな怪我さえも、自らの進化の糧にし、新たな姿を見せる――。これぞ中村憲剛というプレーは、多くの人の心を動かしたはずだ。それこそ、不世出のプレーヤーと言えるのだろう。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)