• トップ
  • ニュース一覧
  • 「ベルカンプの後継者」や「次代のベッカム」と称えられた天才MFが早すぎる引退後に掴んだ成功とは?【消えた逸材】

「ベルカンプの後継者」や「次代のベッカム」と称えられた天才MFが早すぎる引退後に掴んだ成功とは?【消えた逸材】

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020年08月28日

御大ハリー・レドナップにバケツの水を浴びせ…

最後に所属したクラブはブラックバーン(写真)。ここでは5試合の出場に留まった。 (C)Getty Images

画像を見る

 U-21代表のスチュアート・ピアース監督にもきちんと説明したはずだった。ところが、メディアが伝える指揮官の言葉は辛辣で、ファンからも酷く口撃された。

「ピアースはその時は多くを語らなかったのに、翌日の新聞でボロクソに言うんだ。アフガニスタンの駐留英軍兵士と比べたりして。理解できなかった。フットボールがちょっと嫌になったね」

 それでもA代表には招集され、マクラーレンの後を継いだファビオ・カペッロ監督にも才能を見込まれた。その助言に従う形でビッグクラブへの挑戦を決意し、08年夏、トッテナム・ホットスパーへ。しかし、折れかけた心は元には戻らず、やがて重大な過ちを犯すことになる。

 2年目の09-10シーズン、マンチェスター・シティを直接叩いてチャンピオンズ・リーグの出場権を掴んだ試合直後だった。お祭り騒ぎのロッカルームを飛び出して生中継中の監督インタビューに乱入すると、御大ハリー・レドナップにバケツの水を浴びせたのだ。さすがにやり過ぎだった。これでトッテナムに居場所はなくなった。
 それからはバーミンガム・シティ、ウェストハム・ユナイテッド、ロシアのロストフ、そしてブラックバーンをレンタルで転々とし、思い出の古巣で〝その時〞が訪れる。13年4月1日のカーディフ・シティ戦だった。途中交代でベンチに下がる刹那、「もうこれで終わりだ」と悟ったという。

「頭より心で動く」タイプと自己分析するように、良くも悪くも型にはまらず、興味の幅も広かった。引退の数年前からビジネスを始め、スペインのマルベージャで共同経営するレストランを成功させると、清掃会社や会計事務所と多方面に事業を広げ、18年には祖父の家業を継ぎフローリングのデザイン・施工会社を発展させている。

 28歳で見切りをつけたフットボール人生に、後悔は微塵もないようだ。

文●松野敏史

※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年8月20日号より転載
 
【関連記事】
「あれで僕は本当にメディアが嫌になった」新ジダンと呼ばれた男の苦悩と挫折のストーリー【消えた逸材】
【消えた逸材】マンUで鮮烈デビューを飾った“イタリアの神童”が語る「人生最大の過ち」とは?
【消えた逸材】ワールドユースで本田圭佑らを圧倒した褐色のウインガー“オウス=アベイエ”はどこへ?
【消えた逸材】ワールドユースで本田圭佑らを圧倒した褐色のウインガー“オウス=アベイエ”はどこへ?
【消えた逸材】自宅に火を放って放火犯に…。「ブラジル史上最高のCBになれる」と絶賛された若者の波瀾万丈のキャリア

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ