ポジションを争うのは“近年の最高傑作”
ビジャレアルの右サイドは、クラブが輩出した“近年の最高傑作”の呼び声も高いサムエル・チュクウェゼが本職とするポジションでもある。恵まれた身体能力を活かした縦への推進力が武器のナイジェリア代表FWは、まだ線が細くフィジカルコンタクトを課題にする久保に比べてプレーの一つひとつがアグレッシブだ。
カットインから左足でシュートを叩き込むプレーを得意とし、縦に速いサッカーを好むエメリの戦術的傾向との相性も良く、さらなる進化が期待される。ただそのプレーは単調さが否めず、引き出しの豊富さやテクニックの多彩さという点では明らかに久保に軍配が上がる。久保の加入は、チュクウェゼにとって脅威となりそうだ。
久保のポジションの話を続ければ、メディアプンタ(トップ下)も候補の1つだ。この形だと久保とチュクウェゼの併用も可能となるが、ただその実現には2つの問題が横たわる。
ひとつ目は久保自身のプレースタイルだ。この日本代表MFは、ペナルティーエリア角付近でボールを持つ形を十八番にしている。
マジョルカでは前述したように周囲のサポート不足もあり、なかなかこの得意な形に持ち込むことができなかったが、それでも右サイドから持ち上がり、縦に仕掛けてからのクロスやそのままドリブルで切れ込んでのシュートでフィニッシュに絡み、相手守備陣の脅威になり続けていた。
これがメディアプンタになると、その前提となるカットインしてドリブルする機会が限定されることになる。
カットインから左足でシュートを叩き込むプレーを得意とし、縦に速いサッカーを好むエメリの戦術的傾向との相性も良く、さらなる進化が期待される。ただそのプレーは単調さが否めず、引き出しの豊富さやテクニックの多彩さという点では明らかに久保に軍配が上がる。久保の加入は、チュクウェゼにとって脅威となりそうだ。
久保のポジションの話を続ければ、メディアプンタ(トップ下)も候補の1つだ。この形だと久保とチュクウェゼの併用も可能となるが、ただその実現には2つの問題が横たわる。
ひとつ目は久保自身のプレースタイルだ。この日本代表MFは、ペナルティーエリア角付近でボールを持つ形を十八番にしている。
マジョルカでは前述したように周囲のサポート不足もあり、なかなかこの得意な形に持ち込むことができなかったが、それでも右サイドから持ち上がり、縦に仕掛けてからのクロスやそのままドリブルで切れ込んでのシュートでフィニッシュに絡み、相手守備陣の脅威になり続けていた。
これがメディアプンタになると、その前提となるカットインしてドリブルする機会が限定されることになる。
もうひとつの問題は、周りの選手との兼ね合いだ。ビジャレアルはジェラール・モレーノとパコ・アルカセルというラ・リーガでも指折りのストライカーを2人抱えている。久保と両FWとの共演は注目のひとつだが、久保をメディアプンタに置くと、自動的にチームの売りである2トップを解体せざるを得なくなる。
あるいはジェラールを昨シーズンに新境地を開いた“偽の右ウイング”として起用するオプションもあるが、そうなるとチュクウェゼが弾き出されてしまう。一方で、久保、ジェラール、チュクウェゼはいずれも左利きで、そもそも3人の同時起用は左右のバランスという点で難しいという側面もある。
もちろんそのデメリットを承知の上で、そのうちの誰かを左サイドに回す手もあるが、エメリが持ち味を相殺してまで起用に踏み切るかは疑問だ。
もちろんメディプンタ起用はプレーゾーンを相手ゴールに近づけることにもなる。昨シーズンの久保はゴールへの積極性を欠いた嫌いもあり、シュートチャンスが増える点では当然右サイドに比べて利点がある。
以上、こうした様々な選手の特徴を鑑みながら、戦術家として誉れ高いエメリはいかにして複雑なジグソーパズルを解くように各ピースをはめ込んでいくか。久保はその中で持ち味をアピールしながら、居場所を確保していかなければならない。
文●アドリアン・ブランコ(戦術アナリスト)
翻訳●下村正幸
あるいはジェラールを昨シーズンに新境地を開いた“偽の右ウイング”として起用するオプションもあるが、そうなるとチュクウェゼが弾き出されてしまう。一方で、久保、ジェラール、チュクウェゼはいずれも左利きで、そもそも3人の同時起用は左右のバランスという点で難しいという側面もある。
もちろんそのデメリットを承知の上で、そのうちの誰かを左サイドに回す手もあるが、エメリが持ち味を相殺してまで起用に踏み切るかは疑問だ。
もちろんメディプンタ起用はプレーゾーンを相手ゴールに近づけることにもなる。昨シーズンの久保はゴールへの積極性を欠いた嫌いもあり、シュートチャンスが増える点では当然右サイドに比べて利点がある。
以上、こうした様々な選手の特徴を鑑みながら、戦術家として誉れ高いエメリはいかにして複雑なジグソーパズルを解くように各ピースをはめ込んでいくか。久保はその中で持ち味をアピールしながら、居場所を確保していかなければならない。
文●アドリアン・ブランコ(戦術アナリスト)
翻訳●下村正幸