そこでキーマンとなっているのは、指揮官が「奪ってからカウンターやショートカウンターに出ていく際のターゲット」と信頼を寄せるトップ下の江坂任だ。常に絶妙なポジションを取って、クリアやこぼれ球を拾い、そしてボールを奪った味方へすぐにサポートに入り、攻撃へつなげる。ターンして相手の最終ラインの裏にスペースがあると判断すれば、オルンガへのスルーパスを狙い、一方でゲームの流れによってはキープして時間も作っている。

　攻撃から守備への切り替えも改善されている。これは単純に選手のコンディションが向上して運動量が豊富になったことが要因のひとつだが、ボランチの大谷秀和がいぶし銀の働きをしているおかげでもあるだろう。

　３試合ぶりの先発だった湘南戦から、３連勝中はすべての試合にスタメン出場していて、チームがボールを失えばすかさずファーストプレッシャーに入り、ピンチの芽を摘んでいるシーンが多々あった。カウンターを受けそうになっても、すぐ守備に入って未然に防げるのは、攻撃時にもリスクを意識したポジションを取っているからだろう。特にここ２戦はその貢献が顕著で、失点も減っている。

　攻守の要である江坂と大谷の活躍もあり、３連勝中の柏は現在７位。このままの勢いを維持できるか注目だ。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）