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タイでは前回契約時の5倍の金額に!収益拡大の放映権販売が抱える悩ましい課題とは?【アジア戦略のいま #4】

カテゴリ:連載・コラム

長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年07月09日

放映権料が上がると露出が減る!? 今後の放映権戦略の課題は?

欧州での放映権ビジネスは莫大な利益を生むが、Jリーグでは放映権料が上がるほど露出が減少するトレードオフの現象も見られるという(写真はイメージ)。(C) Getty Images

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 しかし、放映権料収入をここまで拡大させるにあたっては、ある葛藤も生まれたという。アジア戦略が開始された2012年は1億円に満たなかった海外放映権料だが、金額が徐々に上がるにつれて露出も減るトレードオフの現象が起きていたからだ。小山氏が解説する。

「販売する代理店側からすると、2012年の頃のように権料が低かった際にはその投資金額を回収するのも容易だと思うんです。回収さえできれば、放送したいという放送局にどんどん放映権を売れる。なので、当時は放送局数も非常に多かったのですが、権料の金額が上がると当然高く買ってくれる局を選ぶようになるので、そうすると露出も減ってしまう可能性があります」

 海外放映権料の増大とともに、いかに露出を拡大させるかは、今後の放映権戦略において大きな課題だと言える。
「やはり、今は露出を高めて人気を上げていくフェーズだと思うので、次の契約でも放映権料ばかりに囚われないようにした方がいいと思っています。露出もしっかり確保しながら価値を上げていくのがベストですね」(小山氏)

 こうした現状に沿った放映権販売を実現するべく、現在は試合・大会ごとの分類や、有料・無料TVやデジタル配信といった放送波、試合ハイライトやパブリックビューイングなどの用途ごとの分類など、権利を切り分けて販売する方法も採用されている。放映権の販売方法にも創意工夫がなされているわけだ。

 2013年に立ち上げたタイ語版のJリーグ公式フェイスブックはすでに52万人ものフォロワー数を誇り、日本語版のほぼ倍の数字である。放映権ビジネスもさらなる拡大を見せていく中、今後はベトナムやインドネシア、マレーシアといった他の地域との関係性を開拓していきたいところだ。

 開催国枠が48に拡大される2026年ワールドカップに向けてASEAN諸国のサッカー熱はますますヒートアップしていくだろう。この大会での初出場を狙う国も多いはずだ。小山氏は「その時にJリーグがどんな立ち位置にいるのかも重要になります」と語る。Jリーグの「アジア戦略」をさらに効果的なものとするためにも、やはり日本サッカーがアジアの強豪国として君臨することが大前提と言えるだろう。

取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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