【“天才”回顧録】早熟系FWだった森崎嘉之。「努力しなくても、なんでもできた」

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年06月30日

「“違い”を作れる選手を育てていきたい」

高校卒業後は市原(現・千葉)に加入。大きな期待を寄せられたが、思うような活躍はできなかった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 プロになった後、思うような活躍ができなかったのも、サッカーが楽しくなくなったからだと思います。前からディフェンスしろと言われても、それで体力を削られて、FWとしての仕事をする時に全力を出せないのも、ちょっと違うなって。守備をそこまでしていないのに試合に出られる他の選手もいて、それもまた面白くなくて。誰かのせいにしたかった部分もあったと思います。そうこうしているうちに、フェードアウトした感じですね。

 今は、サッカースクールで子どもたちを教えています。勝ち負けにこだわらず、技術向上を重視。しっかりとしたスキルさえあれば、ポゼッションでもカウンターでも、どんなスタイルのサッカーにも対応できるはずですから。

 高校時代に、布(啓一郎/現・松本監督)先生に教わったことも思い出しながら指導しています。指導者によくある傾向で、わりと上手な子には、言わなくてもできるからそこまで教えたりしないと思うんですけど、布先生は違いましたね。自分のシュート練習も付きっきりで見てくれたりする。本当に“育てられた”という感じです。

 自分も指導する立場になって、できない子だけでなく、できる子にもいろいろと言ったり、寄り添うようにしています。もっと上手くしてあげたいって。プレーの否定はしないで、「あと3通りぐらいパターンがあるけど、分かる?」とか、そういう投げかけをして、引き出しを増やすようにする。布先生も、そうやって自分に接してくれたので。

 とにかく、単純に上手くなってほしいし、“違い”を作れる選手を育てていきたい。技術をちゃんと身に付ければ、たとえプロになれなくても、ずっとサッカーを楽しめる。せっかく始めたサッカーを、途中でやめてしまう人もいて、それはもったいないと思うんですよ。草サッカーでも「上手いね!」と言われたら嬉しいじゃないですか。大人になっても、ボールを蹴って、楽しんでほしい。そういう想いで、指導にあたっています。

PROFILE
もりさき・よしゆき/1976年4月20日生まれ、千葉県出身。現役時代は市原、水戸、横河電機でプレー。高校3年次は選手権で優勝。決勝戦でのハットトリックは語り草に。現在は『ドリームサッカースクール』の代表を務める。

※『サッカーダイジェスト』2020年7月9日号より一部修正・加筆して転載。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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